英語の資格試験やレベル試験はいろいろありますが、どれも有料でわざわざ予約して会場に行って受けないといけないのが難点です。
もっと簡単に無料でしっかりと自分の英語力を診断したい
こんな方にぴったりなのが、EF SET「EF Standard English Test」。
EF SETとは、TOEFLやIELTSなどの標準テストと同じ高い技術標準を持つように設計された、世界で初の無料のオンライン標準英語テストです。EFSETとかEF SETとか言ったりしますが、正確にはEF SETと言います。
世界最大の語学教育機関である「EF Education First:EF」を母体にした、スウェーデンのグローバル企業が運営しています。
この記事では、EF SETの概要とEF SETを受けるメリット、そして試験の受け方と内容について詳しく解説します。
EF SETにはいろいろな種類の試験がありますが、この記事では15分のクイックテストと一番ポピュラーな50分のテストについて取り上げます。どちらも無料で受けられます。
大学は英語学専攻。2年間のアメリカ留学を経て英語講師を8年経験。その後は約15年間、海外業務と翻訳の仕事をしています。たまに通訳も。ずっと英語畑です。
TOEIC990点、英検1級、通訳案内士
EFSET レベル判定テストとは?
EF SETの試験の内容についてお伝えする前に、EF SETとは何か?についてもう少し詳しくご説明します。
EF SETを運営している「EF Education First:EF」は日本ではそれほど知名度は高くないかもしれませんが、長年オリンピック・パラリンピックのスポンサーとしてオリンピック大会を支えてきた企業です。
「そういえば聞いたことがある」という方もいらっしゃるかもしれません。EFは、東京オリンピックのスポンサー企業でした。
※上記のサイトは現在は表示されていません。
EF SETは毎年各国の英語能力の順位を発表
EF SETは2014年からスタート。もう7年近く各国の試験受験者のデータが蓄積されていて、世界最大の成人の英語能力ランキングとして、毎年各国の英語能力の順位が発表されています。
2020年の1位はオランダ、2位はデンマーク、そして3位はフィンランドとヨーロッパの国の順位が高いですね。オンライン英会話で講師をすることの多いフィリピン人は2020年は27位でした。また、英会話講師として人気のセルビア人は15位となっています。
アジアでは、シンガポールが10位に入っています。日本は55位と残念ながらかなり下の方にランキングされていますね。
EF SETの試験の種類
EF SETの試験は次のような種類があります。
テストの種類
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EF SET 15
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EF SET 50
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EF SET 120
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略称
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15 MIN
QUICK CHECK
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50 MIN
EF SET
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EF SET
サーティフィケート・ プラス
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正式名称
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EF SET
Quick English Check |
EF SET
English Certificate |
EF SET
English Certificate Plus |
時間
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15分
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50分
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120分
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料金
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無料
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無料
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無料
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会員登録
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不要
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必要
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必要
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修了証明書
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なし
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あり
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あり
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備考
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15分で
自分の実力が分かる オンライン診断テスト
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最も標準的で
人気のある
オンラインテスト
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所要時間が最も長く
最も厳格なテスト
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一番人気のあるのは50分間のフルテストです。最後に修了証明書 (English Certificate)も発行してくれるので、公の文書としても使用できます。
EF SETの試験はどのくらい難しい?
EFSETは「適応型」のテストです。マルチステージ・テスト・エンジンを実装していて、受験者の解答のパターンから、テストが進むにつれてテスト内容が受験者のレベルに対応して高い難易度になったり低い難易度になったりしていきます。
受験者のレベルがより正確に判定できるようにテストの段階ごとに内容が調整されるのが特徴です。
つまり、試験の受験者はみんな同じ問題を受けるのではなく、受験者が解答した内容によって、その後の試験の問題が変わっていくという仕組みです。ある一定の問題に間違うとその先はもっとやさしい問題になりますし、正解すると難しくなったりするという訳です。
わたし自身は、EFSETの試験はかなり難しいと感じました。特にリーディングの試験は25分間なのにかなりのボリュームがあるので、初めて受けるとちょっとあせるのではないかと思います。
EFSETのレベル判定テストは無料!
英語スキルを測るテストはほとんどが有料で、1回に数千円から数万円かかったりします。例えば、英語の試験というと日本であればTOEICや英検が思い浮かびますよね。主な英語スキルの試験の受験料はこのようになっています。
試験
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受験料
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英検準1級
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8,400円
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英検1級
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10,300円
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英検2級
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7,400円
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TOEIC
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7,810円
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TOEFL
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26,960円
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IELTS
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25,380円
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CASEC
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3,600円
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※US$は110円で計算
TOEICでも、1回に8000円近くしますし、そもそもどの試験も会場に行って受験しないといけないので「ちょっと気軽に受けよう」というようにはならないですよね。
そんな中、「EF SET」は完全に無料且つ自宅にいながらオンラインで受けられる、受験者にとってかなり利便性の高い試験となっています。でも、無料というとたいして受ける価値のない試験なのではないかと思いませんか?
EFSETを受ける理由
EF SETを受ける理由は大きく分けて3つあります。
- 信頼性のあるテスト
- スコアを他のテストと比較できる
- 無料で証明書 (Certificate)を発行してくれる
EF SETは信頼性のある試験
運営母体のEFもそうですが、EF SET自体も日本ではあまり知られていないかもしれません。でもEF SETは、TOEFLやIELTSの点数ではなく、EF SETの試験結果を合否の判定材料にするアメリカの大学もあるくらい、海外では知名度の高い試験です。
EF SETはTOEFLやTOEIC、IELTSなどの統一テストと同じ信頼性と正確性を持つように設計されています。
EF ETはスコアを他のテストと比較できる
EF SETは0~100までの評価のレベルを採用していて、採点結果に反映させています。IELTS、TOEFL、TOEIC、Cambridgeテストに換算した場合のスコアも提示してくれます。
また、EFSETは、国際的に認められた「CEFR」 (Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment:外国語の学習、教授、評価 のためのヨーロッパ共通参照枠)とのレベルの相関性がわかる唯一の標準英語テストです。
無料で証明書 (Certificate)を発行してくれる
EFSETの50分の方のフルテストを受けると、最後にPDFでCertificateを発行してくれますので、公的な文書として使用することができます。
そもそも、わたし自身もEFSETのことは知らなかったのですが、EFの運営するオンライン英会話スクール「EF English Live (EFイングリッシュライブ)」を受講したのをきっかけに、無料なら(笑)とこの試験を受けてみることにしました。
EFイングリッシュライブでも、定期的にEF SETを受験して、自分のいまの英語のレベルを確認することが推奨されています。
それでは次に、実際のEF SETの試験の内容についてお伝えします。
EFSETの試験はどんな内容?
先ほどもお伝えしましたが、EF SETの主な試験には2つあります。EF SETの主要な試験には15分のクイックテスト (QUICK CHECK)と50分のEF SET 50の2種類があってどちらも無料です。
15分間のクイックテストの方は会員登録なしで受講が可能な簡易的な試験です。一方、50分間のフルテストの方は会員登録が必要です。
ただ、会員登録しておくと過去の自分のスコアの履歴が残るので、どちらを受ける場合でも会員登録をしておくことをオススメします。また、EF SET 50の方は最後にEF SET Certificate™という公式の証明書がPDFで発行されます。この証明書の内容は、LinkedInや履歴書に記載することが可能です。
このため、時間がある場合は50分の方のEF SET 50の試験を受けることをおすすめします。
- リーディング:25分間
- リスニング:25分間
50分間のフルテストの項目は、リーディングとリスニングでそれぞれ25分間ずつの試験となります。リーディングが先にあって次にリスニングの試験があります。
試験の案内は日本語で書かれていますので安心です。時間制限があってリーディングの内容は難しめです。ただ、これも受けていくうちにその先の内容が変わってくるので、どの受験生も同じ試験を受けるわけではありません。
試験のスコアは0~100で示され、このようにリーディングとリスニングのそれぞれのスコアも表示されます。それぞれのスコアがCEFRではどのレベルに相当するかも表示されています。
テストが終了すると、すぐにEF SETの成績証明書がPDFで発行されます。
EFSETの試験を受ける方法
EF SETはこちらから受験できます。
簡易試験(QUICK CHECK)の場合は必要ありませんが、50分のフルテストを受験する場合はまず会員登録をします。
このようにGoogle、Facebook、Linkedinのアカウントでログインすることもできます。
メールアドレスとパスワード(8文字以上)を入れるだけで登録が完了します。会員登録すると、すぐに試験を受けることができます。
最初に念のためにお伝えしておきますが、試験の出題傾向は毎年同じではない可能性があります。今回の記事は、2021年6月に受けた内容に基づいています。
わたしの場合は50分のEF SETを受けました。50分の試験の場合は右側の青いボタンをクリックします。15分の場合は、緑色のボタンの方を押しましょう。
最初にオーディオチェックがあります。
「流す」の再生ボタンを押すと、音声が聞こえるかどうかチェックが行われます。大丈夫であれば、「はい、テストを受けます」のボタンをクリックします。
ボタンをクリックすると最初に試験に関する注意事項が書かれた画面が表示されます。この時点では試験はまだ始まっていないので安心してくださいね。
案内は日本語で書かれていて、こんな内容です。
ようこそ、これから50分間のEF SETを開始します。
リーディング25分+リスニング25分=50分
- このテストはリーディング、リスニングという二つのセクションを含む。
- これから25分間のリーディングセクションを開始します。
- 時間を使い果たさないように気をつけてください。
- 答えが間違ってもポイントを失うことはありません。
- 次へとクリックしたら、戻ることはできません。
- 最適なテスト体験を得るには、「全画面」モードをご利用ください。このアイコンは、画面の右下隅に常にあります。
最初にリーディングが25分間、次にリスニングが25分間の試験となっていますが、リーディングとリスニングの間にも同じ案内事項の画面が表示されます。
この注意事項の案内画面が表示されている間は、スタートボタンを押すまでは試験はスタートしないので、リーディングが終わってからいったん休憩することもできます。リーディングは難しくてわたしはかなり疲れたのでちょっと休憩した方がいいかもしれません…。
EFSETのリーディングとリスニングの試験内容
リーディングセクションの内容
案内の右下のボタンをクリックするとリーディングセクションからスタートします。
リーディングの試験内容
① 単語を選ぶ
最初に、穴埋めで4択の中から単語を選ぶ問題があります。たぶん6問くらいだったと思いますが、メモを取るひまはなかったので試験問題の数は前後するかもしれません。
リーディングの問題でもリスニングの問題でも、画面の上の方に時間を示すステータスバーが表示されています。こんな感じですね。
このステータスバーは25分からカウントダウンされていって、すべての問題が終わっていなくても25分経つと自動的にリーディングの試験が完了となるので、最初の方に時間をかけすぎないように注意しなければなりません。
このため、やさしそうな問題であればなるべく早く回答して、後で難しい問題になったときにじっくりと文章を読んで時間をかけられるように時間を残しておくのが高得点を取るコツです。なお、一度回答した問題に戻ってやり直すことはできません。
② 2つの長文を読んで選択肢から選択
穴埋め問題の後のリーディング問題はすべて同じ構成になっていて、画像のようにAとBの文章が2つあって、その2つの文章に関して質問内容に合っているのはどれかを選択肢から選んでいきます。
今年の試験ですし、著作権の関係もあるので実際の文章や回答の設問の内容自体はぼやかしておきました。
最初は「Aのみ」「Bのみ」「AとB」の3択の中から選んでクリックしていきます。
次に、最後の方になると同じようにAとBの文章が2つあって、その2つの文章に関して質問内容に合っているのはどれかを選択肢から選んでいくのですが、「Aのみ」「Bのみ」「AとB」「AでもBでもない」の4択に変わります。
後の方の文章になるとそれぞれの文章がかなりの長さになってきて難易度も高く、それでも文章Aと文章Bがあるので、すべて読んで答えるのは結構大変です。
21分経過して、最後の3分間になると数字が赤くなるのでものすごく焦ってきます(笑)。上の画像でも残り47秒で赤くなっていますよね。
2つの文章も結構長めですし、問題量が多いので、ゆっくり回答していると最後にまったく時間がなくなってしまいますのでご注意ください。
リーディングの問題のコツは、最初の方の優しめの問題でいかにして早く回答して最後に時間を残しておくか、それとあまりわからない長文問題は捨ててわかる問題に注力する、ということだと思います。
リスニングの問題の内容
リーディングが終わると、このようにまた案内が表示されます。一休みするならここですよ~(笑)。
注意事項はこのような内容です。
ただいまリーディングセクションを完了しました。
これからリスニングセクションを開始します。
リーディング25分+リスニング25分=50分
- You have up to 25 minutes to complete the Listening Section.
- 時間を使い果たさないように気をつけてください。
- 答えが間通ってもポイントを失うことはありません。
- 次へとクリックしたら、戻ることはできません。
- 各音声を二回流すことができます。
リスニングの問題は2種類のパターンにわかれています。1つ目は、スピーカーの話す内容を聞いて、合っている内容を設問から選ぶ内容です。2つ目は、1パラグラフくらいの長さの文章の音声が流れるのでプルダウンから合っている内容を選ぶ問題です。
赤枠の中にも書いてありますが、リスニングは、それぞれ2回再生することができます。最初の問題では、1つの音声の再生で10個の質問があり、4択の答えの中から答えていきます。
これがなぜ難しいかと言うと、当然のことながら音声の再生は途中でとめることはできないのですが、1個1個の問題の音声が流れてそれに回答してから次の問題に進むのではなく、なんと問題の音声は次々に読まれていってしまうんです。
なんと表現したら良いか難しいのですが、1つの問題を考えているうちにすぐに次の設問の音声に進んでいってしまうので、1つ1つの問題は一瞬で答えをプルダウンから選ぶ必要があります。英語の瞬発性をテストする問題なのでしょうか…。
このため、コツとしては、一瞬で選びながらわからなくても取りあえず出来る限り答えていって、もう一度音声を聞いて合っているか確認する、という答え方が正解だと思います。時間がありそうだったら先にぜんぶのプルダウンのチョイスを見ておく、という手もありますが、25分以内なのでそんなに時間の余裕はありません。
注意点は、リスニングの問題は2回音声は再生できるものの、リスニング全体の試験時間は25分間と決まっていますので、ゆっくり考えてから2回目の再生ボタンを押したりしていると最後に時間がなくなってしまいます。よって、わかった問題はなるべく早く終わらせて次にいくボタンを押すことをオススメします。
リスニングの問題は、音声の内容自体は難しいという訳ではないですが、時間の制約があるのと一瞬で回答しないといけないところが難易度が高いと感じました。
試験終了後のアンケート
すべて終わると、受験者の情報を入力する画面になります。
その後、すぐにスコアが出てきます。
EFSETのテストスコアを公開します!
わたしの場合、今回は80/100点でした。
PDFで公式な証明書 (Certificate)も発行してくれますが、こちらの方ではもっと詳しい試験結果を見ることができます。
CEFRでいうとC2に該当するとのことですが、70点~100点がC2というのは、ちょっと範囲が広すぎですよね。80点だと100点までまだ20点もありますからね…。
リスニングとリーディングのそれぞれのスコアも示してくれます。
リスニングセクション:83/100
リーディングセクション:77/100
リーディングのテストでじっくりと文章を読んでいて最後に時間がなくなったせいか、リーディングの点数のほうが低くなっています。次回受けるときは、なんとかもうちょっとリーディングのスコアを上げたいと思います!
まとめ:【EFSET】無料のオンライン標準英語試験の内容・対策・スコア・レベル
この記事では、スウェーデンの「EF Education First:EF」が運営している、世界で初の無料のオンライン標準英語テストEF SET「EF Standard English Test」について詳しくお伝えしてきました。
EF SETは無料ですし、何回も受け直すことができます。再度受けると前のスコアが更新される仕組みになっています。
何回も続けて受けても意味がないので、英語を学習して自分のレベルが上がったと思った時に受け直したり、毎年受ける、というような受け方をすると自分の英語力のレベルの目安にはなるのでとても良いテストだと思います。
コロナ渦ではあるものの、そろそろTOEICも受けられるようになってきましたが、それでも「会場に足を運ぶのはちょっと」という方は気軽に受けられるEF SETを受けてみてはいかがでしょうか。
EF SET公式HP:https://www.efset.org/ja
わたしも定期的に受けて、この記事の内容を更新していきたいと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。