お正月におせち料理を食べられた方もたくさんいらっしゃると思います。
おせちに使われている食材にはひとつひとつ「福を呼ぶ縁起の良い食材」が使われていて、それぞれの食材が意味を持っています。
古くから伝わる縁起物の食材は、お正月だけでなく1年をとおしていただくこともできます。
お菓子でも、縁起物の代表格である「あずき」を使った「おはぎ」、「ぜんざい」、「ぼたもち」など1年をとおして楽しめる菓子があります。
福を呼ぶ縁起の良い食材やお菓子をいただき、運気をどんどん上げていきたいですね。
この記事では、縁起物のおせち料理やあずきにはどのような意味が込められているのか、についてお伝えしていきます。
【おせち料理の食材は縁起物の宝庫】
今年の正月は京都の「下鴨茶寮(しもがもさりょう)」のおせち料理をいただきました。
下鴨茶寮は安政三年(1857年)創業の京都を代表する懐石料理店です。
我が家でいただいた下鴨茶寮重箱3段の内、41品について、それぞれの食材に込められた縁起物の由来と意味について解説します。
一の重 12品 (重箱1段目)
① 海老の旨煮
エビは不老長寿の象徴として、ひげが長く伸びるまで、腰が丸く曲がるまで長生きするようにとの願いが込められた縁起物です。
② 巾着餅(きんちゃくモチ)
モチは、昔から神様に捧げる神聖な食べものとして考えられ、祝いごとや祭りの日には欠かせないものとなっています。
③ 紅白松笠烏賊(まつかさいか)
イカは日持ちが良いため「幸せが続く」という意味から縁起の良い食品として扱われました。形も松笠の形でさらに縁起の良いものになっています。
④ 千代結び
千代に八千代に幸多かれという願い。紅白の「かまぼこ」でできています。
⑤ 新巻鮭真丈(あらまきじゃけ・しんじょう)
サケは「栄える」に通じる縁起が良い魚とされています。
⑥ 求肥巻き(ぎゅううひまき)
白身魚を酢で締め、甘酢しょうがとともに求肥昆布(ぎゅうひこんぶ)で巻いた料理。昆布は、「よろこぶ」との語呂合わせで、「養老昆布(よろこぶ)」とも書けることから、お祝いの意味の他にも不老長寿の願いが込められています。
⑦ にしん昆布巻
ニシンは子持ちの魚。コンブも「子生(こぶ)」という当て字をすることで、子孫繁栄の意味を持ちともに縁起物であると言われています。
⑧ 数の子
カズノコはニシンの卵で、子孫繁栄の縁起物です。また、色も幸運を呼ぶ黄色であることからたくさんの金運に恵まれるという意味も込められています。
⑨ 鮑旨煮(あわびうまに)
アワビは古来から百年生きると考えられており、そのアワビを干物にして、紐状に途切れることなくきった物をさらに長く伸ばすことから、長寿を願う縁起物となりました。
⑩ 合鴨くんせい
カモ肉は奈良時代から食べられていたようで、長い伝統を持っています。「カモがネギをしょってきた」と言う言葉がありますが、これは、鴨とネギであっという間においしい鴨鍋ができることから、「良い事がいっぺんに2つやってくる」という意味が込められたものです。
⑪ 菊かぶら
カブは別名『かぶら』と言います。 この『かぶら』は日本の古い言葉で『頭』の意味。 出世運としての縁起物とされています。
⑫ 鰻真丈(うなぎしんじょう)
ウナギは生命力が強く「商売繁盛」・「金運UP」の縁起物です。
二の重 15品
① 焼帆立(やきほたて)
ホタテは「海扇」と呼ばれ、扇を開いたように末広がりで縁起が良い貝とされています。
② 錦糸巻
黄色と白色の2色が美しい錦玉子は、その2色が金と銀にたとえられ、財宝の意味もある縁起のいい料理です。
③ カラスカレイ西京焼
冬のカレイは卵があるので、「子孫繁栄」と、卵が金色であることから「商売繁盛」という縁起物です。語呂合わせで「家例」と書けるため、家に伝わるしきたりという意味もあります。
④ いくら醤油漬
イクラは、魚の卵というところから、子宝に恵まれることや子孫繁栄への祈りが込められています。
⑤ 海老空豆(えびそらまめ)
空豆はふくよかなおたふくの顔に似ているところから福を呼ぶ縁起物とされています。
⑥ ままかり紅白巻
岡山県の郷土料理で有名な魚、「ままかり」をサーモンとレンコンの「紅白」で巻いた一品。レンコンは穴が開いていることで、先を見通せるようにという意味を込めた縁起物です。
⑦ 鶏松風(とりまつかぜ)
トリ肉に味付けして平らに焼き、羽子板状に切ったものを松風焼きと呼びます。羽子板の形が「末広」を表し、縁起が良いとされています。
⑧ 伊達巻(だてまき)
ダテマキは筒状の形をしていて、古来の書物(巻き物)の形をしているため、知力の向上を願う縁起物とされています。
⑨ 紅白なます
紅白ナマスの食材、ニンジン(紅)と大根(白)は土中に根をしっかりと張ることから、「土台を築く」という願いが込められています。紅白の色が祝袋の水引に見えることも縁起の良さにつながっています。
⑩ 黒豆
「マメ」は、丈夫・健康を意味する言葉、一年中元気に働き、『まめ』に暮らせるようにという願い、そして「黒色」と「しわ」という見た目から、「厄除け」と「長寿」の願いが込められています。
⑪ 玉こんにゃく
縁起の良い丸い形のこんにゃく。「家庭円満」の縁起物とされています。
⑫ 紅白かまぼこ
カマボコ独特の半円形は、日の出に似ていることからおめでたい食材とされています。色についても、紅白かまぼこの紅は「魔よけ」、白は「清め」を意味しています。
⑬ 博多柚子柿(ゆずがき)
ユズは身体を清め邪気を払い、柿が長寿の木であることから「清めと長寿の願い」が込められています。
⑭ 子持烏賊(こもちいか)
文字通り「子孫繁栄」の願いが込められています。
⑮ 鶏柚子胡椒焼(トリゆずこしょうやき)
幸せを「トリ込む」という語呂合わせから縁起の良い食材とされています。
三の重 14品
① 栗甘露煮(くりきんとん)
クリきんとんは、金の小判に見立てられ、商売繁盛や金運UP、さらに「勝ち栗」とも言われ、「勝負運」も呼び込む縁起物です。
② 鱈の旨煮(タラのうまに)
タラは「たらふく食べられる」という語呂から、「一年間食に困りませんように」という願いが込められた縁起物です。
③ 蛸の旨煮(たこのうまに)
タコは「多幸」とも書き、幸福を呼び、粘り強く取り組んで行くことも願う縁起物です。
④ 飛龍頭(ひりゅうず=がんもどき)
レンコンやニンジンなど縁起の良い食材で作られています。
⑤ 梅人参(うめにんじん)
にんじんは、「ん」がつくことから、「運」がつく縁起物。赤色も厄除けの色とされています。
⑥ 叩き牛蒡(たたきゴボウ)
ゴボウは地中にしっかり根を張ることから縁起物として親しまれてきました。また、「叩きごぼう」は軟らかく煮たごぼうを叩き、身を開いて調理することから「運を開いていく」とされています。
⑦ 亀甲筍
タケノコがおめでたい亀のこうらのように調理されています。タケノコは真っ直ぐに伸びることから「立身出世」の縁起物です。
⑧ 松笠くわい
クワイがおめでたい松笠の形になっています。クワイは大きな芽が出ることから、「 めでたい」という意味と「出世」を願う 縁起物です。
⑨ 椎茸旨煮
シイタケなどの乾物は、古くから神様やご先祖様へのお供えにも使われてきた縁起物です。
⑩ 金柑密煮
キンカンは金冠とも書き、金運UPの縁起物です。
⑪ 若桃シロップ漬
モモは古くから神の実とも呼ばれ、なでることで厄払いができると言われた縁起物です。
⑫ 海老博多高野
おめでたい「えび」を使った「こうやとうふ」。豆腐も邪気を払うという縁起物です。特に高野豆腐はその形から「盾豆腐」と呼ばれ「災いから守る」という意味があります。
⑬ 胡桃飴煮(くるみ飴煮)
クルミは「実り」と殻の固さから「家庭円満」の縁起物です。
⑭ 田作り(たずくり)
小魚を田畑に肥料として撒いたことで、五万米の豊作になったという言い伝えから、「五穀豊穣と繁栄」を願う縁起物です。
【あずきを使ったお菓子も縁起物】
古くから「あずき(小豆)」は、お赤飯や、あんこを使ったお祝い菓子など、さまざまな形で食べられてきました。あずきの「赤色」は「厄よけの力を持つ色」と言われ、お祝い事や季節の行事で食べられてきた歴史があります。1月15日に厄除けとして「あずきがゆ」を食べたり、お彼岸、お盆に「おはぎ」を供えたり、あずきを食べることで、日常とは異なる日であることを表す意味もあったようです。
あずきがゆ
我が家では毎年1月15日に、おかゆに煮たおもちをいれて、上から市販のゆであずき(缶詰)を合わせていただいています。
子どものころ祖父母の家に行くと、このあずき粥をごちそうになって、甘みのまったくないあずき粥に砂糖をふりかけて食べたのを思い出します。
日本においては、小正月の1月15日に邪気を払い一年の健康を願って小豆粥を食べる風習がある。 この15日は望の日なので、望粥(もちがゆ)とも呼ぶ
小豆がゆは1月15日の「小正月」を祝う料理で、別名を「15日がゆ」ともいい、元来は農耕神事としての習慣でした。
そして、小豆がゆを炊くときに使う粥杖(かゆつえ)と呼ばれる棒で、その年の吉凶を占い、五穀豊穣と子孫繁栄を神に願うという意味が込められています。
また、その色合いから紅調(こうちょう)がゆ、桜がゆともいわれ、地方によっては、もちを入れたり、砂糖をかけて食べるところもあります。
「小豆粥」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2017年2月9日 (木) 05:56 UTC
URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/小豆粥
おはぎ
我が家ではスーパーで売っているおはぎを買って食べることが多いのですが、今年は手作り「おはぎ」に挑戦しました。
昨年購入した自動圧力鍋、ホットクックで「つぶあん」が簡単につくれることもあっての手作り「おはぎ」初挑戦です。
もち米を炊いて、米粒が残る程度に軽くたたいて丸めたものに、ホットクックで作った「手作りあんこ」をまぶしました。
ホットクックで簡単に作れる「おはぎ」のレシピに出来ばえも書いています。是非ご参考にしてみてくださいね!
今回は、「おはぎ」を手づくりするにあたって特にベースとなるモチ米について、いろいろネットで作り方を検索しました。
そのときに、その過程で「おはぎ」という名前の由来や歴史について知ることができて勉強になりました。
「おはぎ」の歴史は平安時代からで、「おはぎ」と「ぼたもち」は実は同じもので、季節で呼び方が違っていたそうです。
おはぎの歴史 おはぎやぼたもちの歴史は古く、平安時代には登場しています。 「小豆の赤い色は災難が降りかからないようにする効果がある」と考えられていて、邪気・穢れ・祟りを払うために食べられていました。
江戸時代になると、お彼岸や四十九日の忌明けに食べる風習が定着し、先祖の供養として結びついたのだと言われています。
日本は春夏秋冬の四季がありますが、この季節によって「おはぎ」の呼び方が変わるようです。
春 牡丹餅(ぼたもち)
牡丹の花が咲く季節、すなわち春の彼岸に、神仏や先祖への供物とされた小豆餡の様子を、牡丹の花に見立てたことから。和漢三才図会には「牡丹餅および萩の花は形、色をもってこれを名づく」と記されている。
夏 夜船(よふね)
ぼたもちは、もちと作り方が異なるため、「ペッタン、ペッタン」という音を出さずに作ることができ、隣に住む人には、いつ搗いたのか分からない。そこで、
「搗き知らず」→「着き知らず」
と言葉遊びをして、夜は暗くて船がいつ着いたのか分からないことから。
秋 御萩(おはぎ)
牡丹餅と同じく、小豆餡の様子を秋の彼岸の時期に咲く萩の花に見立てたことから。
冬 北窓(きたまど)
夜船と同様に、「搗き知らず」→「月知らず」と言葉遊びをして、月を知らない、つまり月が見えないのは北側の窓だ、ということから。
「ぼたもち」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年12月15日 (日) 14:52 UTC
URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/ぼたもち
3月春のお彼岸は「ぼたもち」で、9月の秋のお彼岸は「おはぎ」と呼ぶということみたいですね。
縁起物の食材のまとめ
この記事では、福呼ぶ食材で運気がアップする、縁起物のおせち料理やおはぎなどについてお伝えしました。
ちなみに、2020年のお彼岸は、以下のスケジュールです。
春:3月17日(火)から3月23日(月)まで、「春分の日」3月20日(金祝)
秋:9月19日(土)から9月25日(金)まで、「秋分の日」9月22日(火祝)
今年のお彼岸は、手作り「ぼたもち」と「おはぎ」を持って、それぞれ3月と9月の2回、お墓参りしようと思っています。