人間の食べ物は国産のほうがいいって言うけど、犬の食べ物も国産のほうがいいの?
「日本製」「国産」
すごく安心な感じがしますよね。
我が家も自分たちの食べ物はなるべく中国製ではなく日本産の食べ物を選んでいます。
ステーキが売っていたら…国産のほうがおいしそうで手がのびちゃいます。
家電や家具も日本製がいい!日本製、大好きです。
でも待ってください!!!
ドッグフードの場合は残念ながら人間の場合とはまったく違います。
この記事では、日本産のドッグフードやおやつの危険性についてご説明します。
日本産のドッグフードは海外産よりも安全性が低い
日本でも、通称 「ペットフード安全法」が施行されて、ペットの健康に害を及ぼすようなペット向けの食品の製造・輸入・販売が禁止されています。
これはすばらしいことで、この法律のおかげで国産のドッグフードは昔に比べるとグンと高品質になりました。
でも、残念ながらまだまだ日本はペット先進国に比べて遅れていて、ペットフード安全法も改善の余地がたくさんあると言われています。
というのも、犬のドッグフード、そして犬のおやつも人間のように食品衛生法の対象ではなく、法律的には食品ではないのです!
愛犬に食べさせるドッグフードやおやつが食品扱いではないとはおどろきですよね!
国産のドッグフードの問題点とは:無添加の表示って信じていいの?
国産のドッグフードの問題点は以下の5点です。
- 原産国が日本とは限らない
- ヒューマングレードの表示
- 5 %以下は原材料の内容や原産国を表示する義務がない
- 添加物の基準が甘い
- 原材料に含まれる添加物の表示義務がない
それぞれご説明します。
問題1:ドッグフードの原産国の表示
中国で生産されたとしても、最終的な加工や生産が日本であれば「国産」と表示することができるのです。
だから、たとえ日本製だと書いてあっても日本で作られたものとは限りません。それでは「日本製」「国産」と書いてあってもぜんぜん安心できませんよね。
問題2:ドッグフードのヒューマングレードという表示
ドッグフードは人間の食品衛生法の対象ではありませんので、ヒューマングレードという表示があっても本当にそうなのかはわからないのです。
法律がそもそもゆるいので、ヒューマングレードではないのにヒューマングレードという表示をしてあっても罰則などはなく、あくまでもメーカーのモラルに委ねられています。
問題3:ドッグフードの原材料の5 %以下は内容や原産国を表示する義務がない
ドッグフード安全法では、原材料のうち5%未満については原材料の内容や原産国を表示する義務がないんです。
添加物も5%以下であれば表示義務はありません。よって、無添加と書いてあっても5%近くは添加物が入っている可能性があるというわけです。5%って多くないですか?
問題4:ドッグフードに使用する添加物の基準が甘い
添加物の基準は人間用に比べてかなりゆるくなっています。
たとえば発色剤として亜硝酸ナトリウムの使用が認められていますが、人間用に比べると許容される基準値がはるかに高くなっています。
また、BHA、BHT、エトキシンなどを酸化防止剤としてドッグフードに添加することが認められています。すべて有害なのですが、特にエトキシンは発がン性があるため人間用としては使用が認められていません。
犬や猫のほうが人間に比べて体が小さいので同じドッグフードをしばらく食べ続けるので影響も大きくなります。
問題5:原材料に含まれる添加物の表示義務がない
ドッグフードの原材料に含まれる添加物は表示する義務がありません。んん?問題1の場合とどう違うのでしょう。
ドッグフードを作るときに添加物を使用した場合、5%以上は表示しなければなりません。ただし、原材料自体に添加物が含まれていたとしても表示義務はないのです。
別記事で説明していますが、「ミール」「パウダー」「家禽」「肉副産物」などと表示されている肉がどのような素性の肉でどのような薬剤が使われていたかまでは表示する必要がありません。
表示する義務がないということは、使用する前の段階でどんな危険な薬剤が使われていたとしても、メーカーは管理する義務はないということなのです。
でも原価を下げるために使う副産物っていろいろな薬剤が使われていそうで怖いですね。とてもかわいい愛犬には食べさせたくはありません。
じゃあ海外のドッグフードは安全で安心なのか?
このように、日本のドッグフードに関する法律にはまだまだ心配な点があります。
もちろん、原材料にも加工にも非常に細かく気を配っているすばらしい国産のドッグフードもあると思います。
でも、わたしたちはホームページに書かれていることしかわかりません。本当にそれが信用できますか?もし悪徳業者がいて、いかにも安全な風にみせてドッグフードを販売していても、それはチェックできないですよね。
これが、我が家が国産ではなく外国産のドッグフードを購入している理由です。日本産のドッグフードは、ほんとうに基準をパスしている安心で安全なドッグフードなのかどうかを、素人目で判断するすべがないからです。
それではペット先進国といわれている他の国の状況はどうなのでしょうか?外国産なら安心なのでしょうか?
ヨーロッパとアメリカではドッグフードの品質は非常に厳しい法律で守られています。
アメリカのドッグフード事情
アメリカではドッグフードは非常に厳しい法律で管理されています。また、消費者の力がとても強いために情報公開も進んでいます。
フードの安全性はもちろん、原材料の品質、製造方法、製造する施設、そしてフードのラベルの表示の仕方にいたるまでが、FDA(アメリカ食品医薬品局)、AAFCO(米国飼料検査官協会)、USDA(アメリカ農務省)、FTC(連邦取引委員会)などの連邦政府、州政府、そして自治体の3種類の法律で規制されています。
それぞれの州ではAAFCO(米国飼料検査官協会)と同等以上の規則が適用されていて、違反したメーカーには厳しい罰則が科せられます。
アメリカはよく知られているとおり訴訟大国ですので、ドッグフードにもリコールがありメーカーの自主回収がおこなわれます。日本にあまりリコールがないのは、そもそもリコールの対象となるような厳しい法律がないからなのです。
もちろん日本にも業界団体はあり、ガイドラインも決められてはいますが、違反に対する罰則は特に設けられていないのが実情です。
簡単に説明しましたが、全世界の中でも現時点ではドッグフードに関してはアメリカの法律が一番厳格だと言われています。
よって、アメリカのドッグフードの中でも高評価なドッグフードは、全世界のドッグフードの中でもトップクラスだと言えます。
カナダのドッグフード事情
犬には限りませんが、ペットを飼っているカナダ人の割合は人口の2/3以上と非常に多く、このためカナダ人のペットに対する意識は非常に高く、ペットに関する産業も非常に充実しています。
カナダの国民のペットに対する意識はかなり高く、メーカーも企業努力を重ねておりドッグフードの安全性が確保されています。
イギリスのドッグフード事情
ヨーロッパの諸国は動物愛護に関して非常に進んでいます。
なかでもイギリスは国自体も長い歴史がありますが、世界で初めて動物虐待禁止法が施行されるなど、動物保護に対する意識が非常に高くペットに関連する法規制は70以上あるようです。
まさにペット先進国でペットを飼っているイギリス人は人口の約半分とこれもまた多いですね。
法律で定められているワクチンや予防接種をきちんと受けたペットにはパスポートが発行され、飼い主と一緒に海外旅行ができるという充実ぶりでうらやましい限りです。
PFMA(イギリスドッグフード工業会)という業界団体で原材料、添加物、副産物のチェックが厳しく行われています。
ドイツのドッグフード事情
ドイツはまさにペット先進国。犬にも電車の定期券が交付され、犬の権利までも厳格に守られているというヨーロッパの中でもトップレベルの動物愛護国家です。
国民の意識も非常に高く、犬を飼う人は犬をトレーニングでしつけることが当たり前だと考えられています。だから犬が電車に乗っても大丈夫なんですね。
犬を飼っている人は「犬税」を払わなければならず、この犬税によってさまざまな制度の整備が行われています。
ドッグフードについても、当然法律は厳しく、原材料はすべてヒューマングレードを使用する、合成添加物を使用しない、などなどが厳格に定められており、ドイツのドッグフードでも特に高評価なものならとても安心だといえるのではないでしょうか。
日本で販売されているドイツのドッグフードはなぜか少な目のイメージですので、もうちょっと増えてくれてもいいのにな、と思います。
ドッグフードの「正規輸入品」と「並行輸入品」の違いは?
もう一つ大事なことがあります。
海外のフードには、「正規輸入品」と「並行輸入品」があるのをごぞんじですか?
「正規輸入品」にはこのようなシールが貼られています
正規輸入品とは
- 入力メーカーの本社が承認した会社(正規代理店)だけが輸入した商品を指す。
- それぞれの国で販売の許可を受けたメーカーの正規代理店が決まっている。
- それぞれの国の気候に合うように原材料や水分などを調整して商品管理も徹底された商品。
- 輸送時の温度や湿度の管理が徹底されており、最短期間で日本に到着する便を使用している。
- 商品の保管時の品質管理も徹底されている。
- 何かあったときに正規代理店またはメーカーの保証が受けられる。
平行輸入品とは
- かなり安い値段で購入できる場合がある
- 正規代理店を経由しないで、個人業者などがそれぞれの国で既に販売されている商品を買い付けて輸入した製品を指す。
- 消費期限が短かったりパッケージに不良のある商品もある。
- 生産された国の商品のままでそれぞれの国の気候に合うように最適化されていない商品。
- 食料品でない他の商品と一緒に発送されるため、高温下におかれてドッグフードが酸化したりカビている場合がある。
- 商品の保管時も品質管理がされていない。
- 何かあっても保証は受けられない。
海外の特に高品質のプレミアムフードは、もともと値段が高めに設定されています。また、公式ショップやペットショップでは、通常は定価で販売されています。
楽天やアマゾンで半額程度で販売されていると、「これはお得っ!」と思ってついつい購入してしまうかもしれません。家計のことを考えるとやっぱり安いのは魅力的ですよね。
でも、ちょっと待ってください!!
「正規輸入品」であるという表示のないドッグフードは「並行輸入品」です。先程ご説明したとおり、品質が劣化していてカビが生えているような場合もあって要注意です。
このような理由で並行輸入品のドッグフードを愛犬にあげるのは非常に危険です。並行輸入品のドッグフードをあげるくらいなら、品質のよくない国内品のドッグフードをあげるほうがまだいいと思います。
まとめ
この記事では、国産のドッグフードや犬のおやつが必ずしも安全で安心とは言えない、ということをご説明しました。
また、並行輸入品は品質が悪い可能性もあることから、海外のドッグフードを購入する場合は、どの経路で購入する場合でも、必ず「正規輸入品」を購入するようにしたいですね。