iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金。国の法律に基づく個人型年金の制度で、わかりやすくひとことで言うと毎年毎年、節税をしながら老後の資金を作れる」画期的な国の制度です。
イデコの加入者が受けることができるiDeCoのメリットは3つあります。
とはいっても、コロナウイルスでリーマンショックを超える相場の下落を経験している現在、こんな不安を持っているかたも多いと思います。
相場が下がる可能性があるのに老後の資金をiDeCoで作ってほんとうに大丈夫なの?
結論を先にいうと、相場は上がったり下がったりしますが、それでも「iDeCoで資産形成するのはお得です。
この記事では、iDeCoで資産を形成するにあたって、iDeCoとドルコスト平均法の関係について取り上げたいと思います。
iDeCoに加入する税制上の3大メリット【積立時・運用時・受取時】
iDeCoに加入した場合、受けられる税制上のメリットは大きく分けて3つあります。
- 積み立てている間の所得税と住民税の負担が減る(60歳まで)
- 運用している間の利益が非課税(60歳まで)
- 運用してきたお金が一定金額までは非課税で受け取れる(60歳以降)
くわしい記事はこちらの3つにそれぞれ書いていますので併せてどうぞごらんください。
iDeCoの投資信託の運用時の考え方【ドル・コスト平均法について】
iDeCoは毎月一定額を積み立てていく積立投資
iDeCoは、自分の選んだ商品を、毎月同じ掛け金を継続的に積み立てていく方式です。
元本確保型の定期預金や保険のタイプではなく、リスクもあるけれどリターンも大きい投資信託を選んだ場合は、毎月積み立てを行うので、積立投資という投資を行っていることになります。
積立投資で有名なのは、iDeCoもそうですが、同じく政府の制度であるつみたてNISAもこのカテゴリーに入ります。
iDeCoやつみたてNISAの積立投資の場合、選んだ商品を1つ毎月購入する、というわけではなく、選んだ商品の「口数」を購入することになります。
購入することのできる「口数」は、その商品のその時点での価格によって変わってきます。
iDeCoのような積立投資はドル・コスト平均法で購入される
iDeCoのような、積立投資では、知らず知らずの間に投資信託の商品を「ドル・コスト平均法」で購入していく形になります。
「ドル・コスト平均法」というのは、価格が変動していく投資信託の金融商品を、毎月一定の金額分購入していく方法のことです。
「ドルコスト」とありますが、ドルの為替のことを指しているわけではないんです。
「ドル・コスト平均法」は、長期的な投資に良い方法だと言われています。
「ドル・コスト平均法」の仕組みでは、価格が変動していく投資信託の商品の価格が下がっているときは、先ほどご説明した購入することができる口数が増えて、逆に価格が上がっているときは、購入することができる口数が減ることになります。
「ドル・コスト平均法」は、このように長期的に投資信託の商品を継続的に購入していくと、平均すると購入時の価格を低めに抑えられる、という特徴があるのです。
毎月定期的に購入するのではなく、スポットで自分の判断で購入していると、相場の上がり下がりの判断を誤ってしまうと、大きな損を抱えてしまうこともあり得ます。
でも、「ドル・コスト平均法」だと、このようなリスクを最小化できる、という訳です。
そしたら毎月定額ではなくて、毎月一定量の投資信託の商品を購入したらどうなるの?
こんな疑問も出てきますよね。
それでは、投資信託を「定額購入」する場合と「定量購入」する場合の違いをみてみましょう。
投資信託を「定額購入」する場合と「定量購入」する場合の違い
たとえば、投資信託を定額で毎月1万円積み立てたとします。定量購入のほうは毎月1口購入したとします。そして、どちらも合計で100万円を積み立てたとして考えてみます。
すると、定額で毎月1万円積み立てたほうが、最終的な口数が多くなるのです。
このような結果になる理由は、先ほどのドル・コスト平均法のところでご説明したように、毎月一定額を積み立てていると、価格が下がっているときには口数を多く買うことができて、上がっているときには少ない口数を買うことになるからです。
これによって、平均的な商品の購入価格を抑えることができるのです。
ただ、この場合、ずっと相場が上がり続けている場合は、購入できる口数が少なくなる、というデメリットもあります。
相場が下がる可能性があるのに老後の資金をiDeCoで作っても大丈夫なのか?
ここまでご説明したところで、もうお分かりだと思いますが、iDeCoの投資信託の商品は、自然にドル・コスト平均法で運用されているため、相場が上下したときのリスクを分散することができるのです。
また、ドル・コスト平均法によるリスクの分散だけではありません。毎月定期的に商品を購入して積み立てていく、ということは、購入の時期が自然に分散されていくことにもつながります。
このことによって、スポットで商品を購入することに比べて、結果的に購入口数が低くなってしまうようなリスクは防止することができます。
経済評論家の勝間和代さんもドル・コスト平均法についてはこのように解説されています。
今はコロナウイルスの影響で相場が下がっており、我が家でも3月中旬頃は積み立てている投資信託の商品の価格が一気にすべて暴落しました。
わたしがiDeCoを始めたのは2019年なので、リーマンショックも経験しておらず、初めての暴落を経験したわけです。
でも、ぜんぜんあわてることはありません。相場が下がったことでより多くの口数を購入することができるので、かえって喜んでいるくらいです。
積み立てている投資信託の価格が下がっても、それは「下げ含んでいる」だけで、売却しない限り確定しません。
よって、また相場が持ち直してきたら価格はまた上がっていきますので、一喜一憂せずにどしっと構えていれば大丈夫です。
2020年5月末現在ではまた持ち直してきています。
よって、特に若い方で20代、30代、40代のiDeCoの資産の受け取りがまだまだ先の人は心配する必要はありません。
あ、念のためですが、先ほどの説明は逆のこともいえます。
保有している投資信託の価格が上がっていてだいぶ利益が出ている、と喜んでいても、それは「上げ含んでいる」だけで、売却して確定しない限り、そのままの利益を受け取れるわけではないので注意してくださいね。
もちろん、上がり続けているときのほうが現在の資産状況を確認するときには楽しいんですけどね。
iDeCoの運用の終了が間近な人は注意が必要!
ここで気付いた方もいらっしゃると思いますが、もうすぐiDeCoの受け取りの時期なのに、今回のコロナウイルスの影響のように相場が暴落したらどうしたらいいか、ということですよね。
わたしももうアラフィフなので、受け取りのときにどうなるか非常に気になります!
iDeCoで資産を積み立てることの注意点ももちろんあります。
先ほど、積み立てている投資信託の価格が下がっても、それは「下げ含んでいる」だけで、売却しない限り確定しません、と説明しました。
でも、資産を受け取るときには、積み立てた投資信託を売却して確定することになりますので、売却するときにいままで購入してきた平均単価を下回ってしまうと大変です。
元本割れして損失が出てしまうということになってしまいますよね。
iDeCoは、60歳になったら積み立ててきた資産を「一時金で一括受け取り」「年金として受け取り」「一時金と年金の組み合わせ」で受け取ることができます。
もし、受け取る時期がたまたま相場が大幅に下がったときであれば、できれば年金として受け取るほうがいいかも知れません。
というのも、年金として受け取っていれば、相場がまた戻ってきたときには、価格がまた上がってくる可能性があるからです。
一時金で受け取ってしまうと、損失が確定してしまいますよね。
ドル・コスト平均法はいろいろなリスクを分散できるすぐれた方法ではあるのですが、売却時のリスクも考えておく必要があります。
50代後半の人はiDeCoをリスクが少な目の投資信託に変更する検討も必要
このように、受け取り時期の近づいている50代の方は、iDeCoの掛け金を受け取る際に、損失が大きく出て困ることのないようにしておきたいものです。
このためには、リターン・リスクの大きい日本株式や海外株式の配分を減らして、より安全資産である日本債券や海外債券の比率を増やすことも念頭に入れておいたほうがいいかも知れません。
利益が大きく出ていて、これを確定させたい場合には、元本確保型の定期預金にスイッチングしておくという手もあります。
スイッチングとは、これまでに積み立ててきた資産の商品Aを売却 (一部でも可)して商品Dを購入する、という手続きです。
投資信託の利益の上がっている部分を売却して元本確保型の定期預金を購入しておけば、その利益分は確保することができます。
まとめ
この記事では、相場が上がったり下がったりする可能性があるのに、長期的にiDeCoで資産を積み立てていっても大丈夫なのか、という疑問に対して説明をしました。
iDeCoのように毎月一定額を積み立てていく積み立て投資のタイプであれば、ドル・コスト平均法によってリスクが分散できます。
いまは普通預金も定期預金も微々たる利息しかつかない時代。少しでも資産を大きくするために、積み立て投資をしていくのがおすすめ。
iDeCoのメリットは何といっても節税効果が高いことです。これだけとってもiDeCoをスタートするメリットは十分にありますので、iDeCoの加入を検討してみてはいかがでしょうか。
iDeCoとはなにか?iDeCoの制度の流れについてはこちらをどうぞ
積立投資についてはこちらの本が参考になりました↓