こんにちは。ミッキーです!
在宅や社内翻訳も含めて約15年間、色々な翻訳の仕事をしています。
翻訳の仕事は在宅で働くことができるため、専業主婦の方やフリーランスで働きたい方などに「翻訳者になりたい!」という方が増えています。
インターネットの普及で、今はどこにいてもインターネットに接続することができます。パソコンやタブレットさえあれば、会社にいなくてもノマドでカフェで仕事をしたり、家で仕事をしたりできるため、在宅翻訳の人気はますます高まっています。
英語が得意な方や仕事で英語を使っている方は自分のスキルを使えますし、勉強したり仕事をすればするほど翻訳のスキルが自分に蓄積していくのも魅力的です。
お子さんが小さい方や家族の介護をしている方など、出社しないで自分の好きな時間帯に在宅ワークで仕事をできるというところが魅力の一つです。
でも、翻訳者になるには専門の学校に長年通って勉強しないといけないんじゃないの?
大丈夫です!学校に通わなくても独学で翻訳家になる方法はあります。現にわたしは専門学校に行ったことはなく、翻訳の勉強は本を読んだり通信で独学で勉強しました。
この記事では、独学で翻訳者になるために英語のスキルをアップする方法の中で、英文法と単語のレベルを上げる方法をご紹介します。
翻訳者になるために英文法と単語のレベルを上げる方法
翻訳者になるためには、英語のスキルを少しでも毎日確実にあげていくことが大切です。昨日よりも今日。今日よりも明日。といった感じです。
そして英語のスキルを上げるためには、独学で効率良く、しかも楽しみながら次の3つの勉強をするのがポイントとなります。
- 英文法の勉強
- 英単語の勉強
- 英文解釈の勉強
この勉強は、翻訳者を目指している方だけでなく、英語を使ったお仕事をされている方にも役立つ内容です。あまりに長くなるので読解力のレベルアップについては別の記事にしました。
この記事では英文法と単語のスキルアップの方法について紹介します。
翻訳者になるための独学の英文法の勉強方法
どうして英文法の勉強をしないといけないのか?
わたしは正直に言うと英文法の勉強はあまり好きではありません…。でも、間違いなく「英文法をしっかりと勉強しておくと翻訳するときに楽になる!」と断言できます。
実際に翻訳をしていると、書かれている文章の構造をきちんと理解できていないと内容がわからないときがびっくりするほどいっぱいあります。
自分が分かる分野の翻訳であれば原文の構造がちゃんとわかっていなくても意味が取れるのですが、詳しくない分野だと何のことだかいくら考えてもわからないことがあるんです!
ほんと、いろいろ苦労してます…。
訳している分野に関する知識があまり無いと誤訳や珍訳を作ってしまう可能性があるので要注意です。メーカーだと全く違う製品ができてしまうなどという恐ろしい事態にも陥りかねません…。
わたしのように社内翻訳であれば、わからない場合は技術者に聞くことができますが、フリーランスの場合はそうもいかないですよね。
ということで、わたしは翻訳の精度を高めるためには英文法の知識は絶対に必須だと思っています。翻訳者のお守りみたいなものでしょうか(笑)。
逆に言えば文法がしっかり理解できていると、あとは単語を調べる検索力と日本語力があればどの分野でも翻訳することが可能となってきます。
英文法の勉強でしなくてもいいこと
翻訳をするために英文法を勉強する場合、TOEICや英検などの試験対策の勉強ではありませんので、試験対策用の問題集をやる必要はありません。
自分が不得意だと思う部分から、まずは集中的に勉強することをおススメします。
英文法【テキスト】はこの1冊でOK
まずは柔らかめの、目からうろこの英文法テキストを1冊ご紹介します。
世界一わかりやすい英文法の授業(関 正生著)
スタディサプリの講師をしている関先生の著書です。この本は、初級者から上級者までを対象にしていますし、翻訳だけでなく通訳の教材にも使用されていたりと、様々なレベルの学習者の幅広い用途に即した文法書となっています。
この先生は、毎回TOEIC満点を獲得しているというだけあって、いかにショートカットで学習者に理解させるか、どんなことを学習者が理解できないのか、ということを研究し尽くしているので、読んでいても「なるほど~」と思うことがたくさんあってとても勉強になります。
たとえば、なぜ現在形を「未来の予定」に使えるのか、ということについては次のように上手く説明しています。
現在形は、The train arrives at seven. (電車は7時に着きます)など駅の時刻表にも使われています。未来のことを言っているのに、なぜThe train will arrive at seven.ではなく現在形なんでしょう?
この理由は、「現在形は現在・過去・未来形を表すから」という説明です(関,2018,P21)。なるほど…。
また、丸暗記ではなくきちんと理解することを重視していますので、いったん理解できれば知識が身につくようになっているのがおすすめポイントです。和文英訳をする際にも役に立つと思います。
英文法の勉強はこの2冊でOK。バイブル的な英文法の参考書
先ほどは英文法のテキストでしたが、やはり問題集だとちょっと内容が足りないので、もっと詳しく勉強したいところです。
英語のレベルが高い友達や、大学の先生に色々聞いてまわったところ、英語を仕事にしたい人、特に翻訳を目指す場合に大多数の人が推奨してくれたのが、英文法解説(江川 泰一郎 著)と表現のための実践ロイヤル英文法(綿貫 陽, マーク・ピーターセン 著)の2冊です。
最近学校で採用されている「総合英語Forest」も説明は分かりやすいのですが、文法については歴史のあるこの2冊ですべて網羅されるので、他の本は買わなくても文法の習得には十分だということでした。
英文法解説(江川 泰一郎 著)
わたしは、この2冊のうち、まずは1冊目として江川 泰一郎先生の「英文法解説」を購入しました。
というのも、翻訳者のバイブルとして「文系・理系を問わず翻訳を目指す人であれば必読書」と言われている安西徹雄先生の「英文翻訳術」にも「英文法解説」が文法書のテキストとして使用されていたからです。
本書には次のように書かれています。
「……英文法というと、私などもそうだったが、学校時代、誰しもひどく退屈させられた記憶があるのではないかと思う。……ある程度英語の知識が身についてから、特に、翻訳などを始めようという時になって、改めて英文法書を読み直してみると、実は非常に面白いことを再発見するものだし、大いに勉強にもなる。そして、そういう目的で読み返すには、江川さんのこの本は、非常にいい本だと思う。私自身、大学時代に読んで大変参考になった。……」
引用元:2018年 筑摩書房 安西徹雄『英文翻訳術』P.23
「英文法解説」の話に戻りますが、この「英文法解説」は受験英語でもよく使われているのでもしかしたら家にすでにお持ちの方もいらっしゃるかも知れませんね。
参考書っぽいのでちょっととっつきにくいかも知れませんが本当におすすめです。何回も読むといいとは思いますが、時間がない方は自分の苦手なところを重点的に勉強してみてもいいと思います。
わたしは仮定法が苦手で、冠詞も難しくていまも苦戦することがあります。このため、仮定法や冠詞のところなどは何度も何度も読み返しました。たとえば、定冠詞のところはこんな感じでマーカーを引いていて真っ青になっています!
また、翻訳の際には前置詞の訳し方も非常に重要となります。前置詞についても何度も読んで理解していると翻訳のときにかなり役立つと思います。
表現のための実践ロイヤル英文法(綿貫 陽, マーク・ピーターセン 著)
もう1冊は「 表現のための実践ロイヤル英文法」です。ロイヤル英文法は高校生程度以上のレベルを対象としています。長年のベストセラーで英文法書を一冊挙げるのであればロイヤル英文法というファンの多い文法書でもあります。
実際に英語を使う場面を想定して英語の「実情」に即して書かれているため見やすく分かりやすくなっています。
例文は青字で表記されていたり、ところどころにHelpful Hintというコーナーがあったりと、役立つ情報が視覚的にも分かりやすくまとまっています。中はこんな感じです。
この2冊は、翻訳だけでなく英語の勉強には必須だと言われてる代表的な文法書です。まさに「一家に一台ならぬ一家に一冊」ですね。特に翻訳者を目指すのであれば苦手なところを何度も何度も読んで勉強するといいと思います。
また、百科事典や辞書のように家に備えておいて、調べたいときに調べられるようにしておくことをおすすめします。
この2冊のうちまずどちらを買うべきか、というと、「英文法解説」の方は参考書っぽくて「 表現のための実践ロイヤル英文法」のほうが視覚的に見やすいので、最初の1冊としてはロイヤル英文法がいいかも知れません。
中古でも構わない方は、ブックオフやメルカリで安く入手できたらラッキーですね。
翻訳者になるための独学の英単語の勉強方法
英単語の学習も必要、というと「翻訳は辞書が引き放題なのに単語を覚えるの?必要ないんじゃないの?」と思われるかも知れません。
確かに翻訳者はわからなければ辞書を引くことはできるのですが、基礎的な単語もすべて辞書で調べなければならないようであればかなり時間がかかってしまいますし、文脈を取るのも困難です。
このため、基礎的な単語は覚えておくと何かと役に立ちます。もちろんある程度基礎的な単語だけでOKです。
単語を効率的に覚える方法を伝授します!
「最初の数ページばかり復習して挫折してしまった…」という声をよく聞きます。
単語本で暗記する場合のわたしのおすすめの勉強方法は、ひとつの章の最後までをとりあえず覚える努力をして、またその章の初めに戻ってまた復習する、そしてこれを繰り返す、というものです。
1つの単語は数秒程度で覚えてなくても次に進み、時間をかけずに高速でこれを何回も繰り返します。このため単語を書いて覚えるのではなく見て覚えます。
最初は覚えている単語がほんの少しかも知れませんが、何回か繰り返しているうちに脳に残っていた情報が蓄積されていって定着するようになってきます。
睡眠学習も効果があることがわかっていますので、いったん覚えたら一晩寝て、次の日にまた復習する、というのもおススメです。
高速+睡眠の方法は科学的にも証明されていて、単語の暗記だけでなくいろいろな勉強にも活用できると言われています。
わたしは仕事で通訳もしなければならないときがあり、通訳は翻訳と違って辞書を見たりできないので、事前に単語を大量に覚えざるをえないときがあります…。
こんなときは時間がないので実際にこの方法で勉強していますが、効果ばつぐんのおススメの方法です。ぜひ試してみてくださいね。
英単語が効率よく覚えられる単語本【厳選2冊】
TOEIC用の単語の本だとTOEICの勉強にもなっていいとは思いますが、TOEICはリスニングが対象となっているので対策にも含まれています。
このため、実務翻訳であれば覚えていなくても問題のない(でも知っていたほうがいいですが)、例えばpedestrian (歩行者)などの単語も入ってきます。
よって翻訳の勉強に特化して基本的な単語をマスターしておくのにおすすめなのは、もう少し基本的な大学受験用の単語本で、手軽でおすすめなのが「英単語ターゲット1900」や「英単語ターゲット1400」です。
ターゲット1900は1900語、ターゲット1400は1400語収録されていますが、約1100語は同じ単語となっています。「ターゲット1900」の方が「ターゲット1400」よりも難しい単語が収録されています。
収録単語をみてみると、ターゲット1900の単語は翻訳をするレベルであればすでに知っているべきレベルの単語ですので、英単語ターゲット1900の方をおすすめします。
英語力にあまり自信がないという方は、まずは英単語ターゲット1400から始めるといいですね。
英語の単語を効率よく覚えられるアプリ
先ほど英単語を覚える本をご紹介しましたが、だんだん歳と共に本を読んで覚えるのが苦痛になってきた方もいらっしゃると思います。
いまは便利な時代で昔はなかった単語学習便利グッズがいろいろあります。アプリだと継続して毎日勉強しても不思議とそれほど苦になりませんよね。
スマホのアプリを使って勉強するのもいいと思います。わたしもアプリが大好きで最近は本よりもアプリで勉強するのがお気に入りです!
Quizlet
単語を効率よく覚えるために最近見つけたのが「Quizlet」でいまは一番おすすめです。Quizletは基本的に無料でパソコンでもアプリでも使用することができます。
ユーザーなどが作った様々な単語帳があり、自分の勉強したい分野を検索してその単語帳をゲーム形式で覚えることができます。シンプルに手早く単語を覚えるのに適しています。
使い方は簡単で、覚えなくてもいい単語はスワイプするか「知っています」ボタンを押すともう表示されません。復習したい単語は「復習する」ボタンを押すとあとでまた出てくるので復習ができます。
広告を消したい、などということがなければ無料で使用できますので一度使ってみてはいかがでしょうか。
料金:無料(広告を消す場合は月額115円)
Mikan
使い方はQuizletと同様にシンプルで、もう知っている単語と知らない単語を左右にスワイプし、知らない単語を後で復習できるようになっています。
定期的に前に学習した単語が出題されるので、自然に反復して学習することができ、いつのまにか単語を覚えることができます。
レベルに合わせて選ぶことができますので、英語学習初心者の方は「中学英語」、もう少し上のレベルの方は「センター試験」などご自分に合ったコースを選んでみてください。
問題を答える時間の設定、ランキングなど、学び続けるモチベーションの上がる仕組みもたくさん盛り込まれているので、継続的に、楽しく学べるのが、このアプリのおすすめなところです。
基本機能は無料ですが、買い切りの単語コースもあり、例えば960円で高校入試用の「フレーズで覚える英単語1400」などが購入できます。PRO機能は1ヶ月1,000円です。
料金:無料(有料コースあり)
まとめ
この記事では、翻訳を勉強する初心者の方が、効率的に英語の文法と単語のスキルをアップするための方法についてご紹介しました。
紹介した本やアプリは実際にわたしも活用していて、とてもおススメのものばかりです。
わたしの略歴と持っている資格
- 社内翻訳の仕事をしています。翻訳歴は約15年です。
- 工業・技術の文書、仕様書、規格、メール、契約書などを英語⇔日本語に翻訳しています。
- 以前は英語学校で講師としてTOEFLなどを教えていました。
- 持っている資格はTOEIC990点・英検1級・全国通訳案内士です。
- 大学は英語学専攻で、「定冠詞・冠詞」について卒論を書きました。
翻訳のスキルをアップする方法はこちらをどうぞ。
英文のレベルを上げるなら、英語の校正ツール「Grammarly」で自分の間違いを確認するのがおすすめです。
翻訳者としては英訳した英文の文法やスペルミスがないかどうかチェックすることは重要です。英文チェックに欠かせないおすすめのサイトをご紹介しています。
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