はじめまして、ミッキーです。
わたしは、契約書の翻訳を通信や本で勉強した後、メーカーの国際部署で、2年間英日契約書の社内翻訳をしていました。
英語の契約書は、英語が流ちょうな人であっても、契約書の文体に慣れていないと複雑且つ難解で、一度読んでさっと理解することは困難です。
日本語の契約書が難解なのと同じですね。
専門性が高く勉強せずに翻訳できる分野ではないため、特に文系でこれから翻訳者を目指す人が選ぶ分野としてはイチオシです。
わたしは、現在は正社員で技術系の社内翻訳をしているのですが、メーカーなので時々契約書の翻訳を依頼されることがあります。契約書の翻訳をした経験はとても役立っています。
会社の規模にもよりますが、どこかの会社の社内で翻訳をする場合は、契約書の翻訳を依頼される確率が結構高いと思います。
よって、翻訳者を目指す場合、ほかの分野を目指すときでも、契約書の翻訳の基本のところをちょっと勉強しておくといいと思います。
この記事では、法律・契約書分野ではどのような翻訳をするのか、需要、収入、どのような人に向いているか、専門スクールやおすすめの書籍などを網羅して、詳しく解説したいと思います。
- 翻訳がしたいけれど目指すべき分野が決められないので、法律・契約書がどんな分野なのか詳しく知りたい。
- 法律・契約書の翻訳ってつまらないんじゃないの?
こんな方の参考になれば幸いです。
この記事は、このような方におすすめの内容になっています。
- 契約書の分野の翻訳者を目指している方
- 法律の分野の翻訳者を目指している方
- ビジネスで国際契約書に従事している方
- 契約書や契約書の翻訳に興味がある方
- 社内翻訳者を目指している方
こちらに書いた内容と重複している内容がありますが、この記事では法律・契約書分野に特化してご説明したいと思います。
法律・契約書の分野ではどのような翻訳をするのか
法律・契約書の分野ではいったいどんな文章を翻訳するのかを見てみると、どんな分野かわかりやすいと思いますので、文章の例を挙げてみたいと思います。
よく契約書の翻訳、といいますが、実は契約書の翻訳は、法律・契約書翻訳(リーガル翻訳)という大きいカテゴリーの中の一つの分野です。
法律・契約書の分野で翻訳する内容は、大きく分けて次の2つです。
- 契約書
- 法律・法令・一般規定・訴訟などの法務文書
なお、法律翻訳・契約書翻訳の発注者・クライアントは、一般企業、官公庁、弁護士事務所、税理士事務所、会計事務所、特許事務所などです。
契約書の分野で翻訳する文書
契約書で翻訳するのは例えばこのような契約書です。
契約書(秘密保持契約書・雇用契約・売買契約・ライセンス契約・信託契約・賃貸契約など)
英文契約書の文章の例
契約書の中で頻度の高い内容を具体的にいくつか取り上げてみます。
Upon occurrence of any of the following events, this Confidential Agreement shall be automatically terminated.
次の事態のいずれかが生起した場合、本機密保持契約は自動的に解除されるものとする。
助動詞「shall」を使うか「will」を使うかで効力が変わってきたりと、使用するべき表現は細かく決まっています。
In case any dispute arises out of or in relation to this Confidential Agreement, the parties hereto shall endeavor to settle the dispute by good faith negotiations between the parties.
本機密保持契約より又はこれに関連して紛争が生起した場合、本機密保持契約の当事者は、当事者間で誠実な交渉を重ねて、かかる紛争を解決するよう努力するものとする。
「the parties hereto」で本機密保持契約の当事者、のように通常は使わない単語が出てきますね。このあたりは後でご説明します。
ちなみに、上の2つのような内容は、表現が違っていても共通条項としてだいたいの契約書に載っていることが多い内容です。
いろいろな契約書をみていると「あ、また出てきた」という感じで慣れてきます。
法務文書で翻訳する文書
一方、法律・法令・一般規定・訴訟などの、法務文書で翻訳する内容はこのような文書です。
内部統制資料、定款、社内規定、法律・法令、訴訟関連文書など
法務文書には、法律関連、訴訟関連、規定関連などが含まれます。法務一般の知識も身に付けないといけないため、法務の英語も役に立ちます。
英文の法務文書の文章の例
Any transfer of shares of the Company shall require the prior approval of the Board of Directors.
当会社の株式を譲渡する場合、取締役会の承認を要するものとする。
これは会社の定款の中の株式譲渡の制限に関する条項です。
次は民事訴訟法の英訳の引用です。
<民事訴訟法第三編>
第二条 裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。
Article 2 The courts shall endeavor to ensure that civil litigation is conducted fairly and expeditiously, and the parties shall conduct that litigation in good faith.
上記でおわかりになったように、契約書でも法務文書でも、法律文の文体自体は同じような硬い感じですよね。
法律翻訳・契約書翻訳の特徴(メリットとデメリット)
次に、いろいろな分野の中から、法律翻訳・契約書翻訳を選ぶメリットとデメリットは何か、みていきたいと思います。
法律翻訳・契約書翻訳を翻訳分野として選ぶ場合のメリット
契約書は英語が国際標準
英語が国際言語だと言えども、例えば中国の企業と取引をする場合、中国語が得意な担当者であれば、やり取りは中国語でするかもしれません。
でも、いざ契約書を締結するとなれば、英語で正本を作成するのが普通です。逆に、中国語で契約書を作りたい、と言われても拒否するべきです。
というのも、英語は国際標準言語だと認識されていますので、契約書の内容に疑義が生じた場合でも、英語で記載された内容をもとに解釈が行われるからです。
中国語だと、中国語の得意な人しか内容がわからないですしね!
といっても、契約書の英語は英語ができる人であっても難しい内容です。よって、企業が海外と取引をする際には、契約書を英語から日本語に翻訳したり、日本語から英語に翻訳したりする需要が必ずあるのです。
自動翻訳にかけた内容を信じて契約書の解釈が違っていると大変なことになるので、自動翻訳や翻訳ソフトにかけた翻訳で済んでしまう、という分野でもありません。
よって、企業の取引がある限り、契約書の翻訳の需要はなくならない、と言われています。
契約書の翻訳者は常に不足している
契約書や法律分野の翻訳者が常に不足していて、特に経験豊富な翻訳者が不足していると言われています。
このため、翻訳者の報酬は比較的高めに設定されています。特に英訳ができる翻訳者が不足しており、英訳が得意な方はねらい目といえます。
文系出身者でも内容が理解しやすい
わたしの現在の会社での経験上、理系の分野の技術翻訳や特許の翻訳は、理系出身でないとかなり苦労する分野です。
単語がすべてわかってもその文章が何を言わんとしているのかわからない、そんなことがよくあります。
日本語も主語をよく省略しますが、文章って省略することが多いですよね。そんなときに、慣れていない分野の内容だと、指示語がどの名詞を指しているのかわからない、というときがあるんです。
日本語の技術文書を読んで理解できない内容は、当然のことながら英語でも理解できないんですよね。
その点、法律・契約書分野は、難しい表現や特有の用語が使われていますが、日本人であれば読めば一応理解はできます。
よって、文系出身者には取り組みやすい分野だと思います。
IT翻訳や特許翻訳などのように専門ツールは必要ない場合が多い
ITやAIの発達とともに、翻訳者も翻訳作業を効率化するための翻訳ツールを使いこなしたり、ある程度以上のパソコンの操作能力が求められるようになっています。
IT翻訳であれば、TRADOSなどの翻訳ツールを使用できるのは当たり前、という時代です。
でも、法律・契約書分野の翻訳は、ほかの分野と比べてそれほど専門ツールの使用を求められたりはしません。
というのも、この分野は専門ツールがなくても翻訳が可能なためです。このため、パソコンがちょっと苦手、という方にはいいかもしれません。
ちなみに、わたしも時代の流れに乗らないと、と思って翻訳ツールのmemoQというツールを導入したことがあります。TRADOSは高すぎて手が出ず…汗。
でも、わたしの業務は同じ文章が出てくることが少ないのであまりメリットを感じられず、現在は使用してません。
図面の翻訳などで、ある程度同じ表現が出てくる場合は、PC-Transer 翻訳Studioの翻訳メモリの方に構築するようにしています。
でも、そろそろまた翻訳ツールを試してみようかな、と思っています。
日本と海外企業の懸け橋に!
わたしだけかも知れませんが、できれば翻訳をするなら何かの役に立ちたい!
法律・契約書分野の翻訳は、まさに国際派。日本企業と海外企業を結ぶ懸け橋となる、重要な業務の一端を担うことができます。
法律翻訳・契約書翻訳を翻訳分野として選ぶ場合のデメリット
今度はデメリットです。
以下の内容は、必ずしも法律翻訳・契約書翻訳のデメリットというわけでもないのですが、この分野を選ぶかどうか考える上で、わたしが重要だと思う要素を挙げてみます。
とにかく契約書や法律分野の文章が苦手という人が多い
これはもうどうこうしようがないデメリットですが、とにかく契約書や法律分野の文章が苦手、というアレルギーの人が結構多いです。
わたしも慣れるまでは正直言って苦痛でした。読むだけで眠くなるし…。
わたしの場合は、最初にバベルの通信講座で勉強したのですが、最初から契約書の文章を勉強するのではなく、英日契約書・法律翻訳のルールをルールブックで勉強しました。
この方式はとっても良かったです。最初から長文の解釈を勉強していたら嫌になっていたかもしれません。
バベルの通信講座では、英日契約書・法律翻訳ルールブックとか英文契約書の共通条項の解説という冊子が送られてきて、基礎的なルールや、うまく訳すためのルールを教えてもらいました。
バベルについては、後で専門スクールのところでもご紹介します。
一文が長くて文章が難解
法律や契約書は、一つのパラグラフが信じられないくらい長く複雑なため、複雑な構文を理解できる高い英語力が必要になってきます。
以下は、よく出てくる契約書の長めの文章の例です。
【長文の例】
The Receiving Party shall keep strictly secret and confidential any and all information disclosed under the Confidential Agreement except such information (i) that is or shall have been known to the Receiving Party before receipt thereof, (ii) that is disclosed to the Receiving Party by a third party having no obligation of confidentiality to the Disclosing Party; or (iii) that is or shall have become known to the public through no fault of the Receiving Party.
【訳文の例】
受領当事者は、本機密保持契約の下で開示された一切の情報を機密に保つものとする。但し次の(i)~(iii)の場合を除く。すなわち、(i)受領側当事者が既に知っている、またはこれを受領する前に知ることになる場合、(ii) 開示側当事者に対して守秘義務を負わない第三者によって受領側当事者に開示された場合、(iii) 受領側当事者の過失に起因せず、公知のものである、または公知となる場合。
この文章は(i)~(iii)にわかれているので、まだ分かりやすいほうだと思います。
ただし、実際はパターン化されているため、いったん特有な文章や言い回しを覚えると、翻訳は飛躍的に楽になります。
基本的な訳し方がわかれば、あとは様々な契約書や法律文書の翻訳の手法を覚えれば対処できます。
ラテン語や法律用語の専門用語も出てくる
賃貸契約や駐車場の契約、車を購入するときの契約書など、生活をしていると必ず契約書が発生してきますので、恐らく日本語の契約書を読んだことのない方はいらっしゃらないと思います。
日本語の契約書を思い浮かべて頂いてちょっと頭が痛くなったところで恐縮ですが(笑)、英語の契約書ではさらにラテン語の法律用語というのも出てきます。
いわゆる「legal jargon」 (リーガル・ジャーゴン:法律専門用語)と呼ばれる言葉です。
ラテン語が法律の言語に使われるようになったのは、イングランドを征服したノルマン人がフランス語とラテン語を使っていたから、のようです。
たとえば、mutatis mutandis(準用する)とか、parri passu(同等の)とか、thereof(その)とかhereof(本書の)とか…。
ラテン語と英語の両方で意味を明確にするための同義語、たとえばmodify and change (変更する)とかterms and conditions(契約条件)などもいっぱい出てきます。
このように、独特な特有の言い回しや表現・用語を使うという特殊な分野であり、法律やビジネスに関する知識も必要となります。
ただし、これらの用語はいったん出てきて覚えておくか辞書に追加しておけば、使い方はわかるのでそんなに頭を悩ます必要はないと思います。
なので、最初にこのような単語を見ても「絶対ムリっ」とか思わずに慣れていくといいですね。
わたしは、いまではむしろ「ラテン語がかっこいい~」と思ってしまいます。
完全な対訳が必須
契約書や法律の文書の場合、読み手によって解釈がわかれるような内容であってはならないため、翻訳文は完全な対訳でないといけません。
このため、意訳とかうまい訳を作るために創意工夫を凝らすようなことは残念ながらできません。
日本語に訳す場合は、日本語の契約書や法律分野で通常使われているような単語や用語、言い回しを使わないと、「この人は法律用語がわかっていない」とか思われてしまいます。
法律・契約書分野の翻訳に向いている人
それでは、どんな人が法律・契約書分野の翻訳に向いているのでしょうか。
- 契約書や法律の複雑で長い文章を解読して翻訳するのが苦にならない人
- 自分の創意工夫ではなく、決められている定型的な用語や言い回しを使うことに抵抗のない人
- そもそも契約書や法律の文章が嫌いでない人
- 英語力の高い人
こんな方はこの分野の翻訳にぴったりです。
日本語の契約書を読んで頭が痛くなる人や契約書は見るのもいや!という人はちょっと向いていないかもしれません。
でも、わたしも最初は嫌いだったのですが、そのうち慣れてきて今はどちらかというと好きなので、慣れもあるのかな、と思います。
また、自分の好きな用語を探してきて使いたい、とか表現力を大いに発揮したい、とか訳文に自分の特徴を出したい、などという方も向いていません。
先ほどもお伝えしましたが、契約書は法律の文書は、違う訳語を使うと契約の当事者間の誤解が生じる原因になりかねないため、専門用語や特有な表現を正確にきっちりと訳さないといけないからです。
また、繰り返しになりますが、わたしの経験上、翻訳を目指しているけれど、工学系や医療系など、「理系の内容はどうしても理解できない!」という方は、契約書の分野の翻訳が非常におすすめです。
というのも、工学系などの理系のバックグラウンドがある方が有利な翻訳分野は、文系だとどうしても理系の人と同等のレベルに達するのが数倍難しいからです。
法律翻訳・契約書翻訳の翻訳者の収入
法律翻訳・契約書翻訳の翻訳者の報酬や給料は比較的高めです。
翻訳の需要が高い医学・薬学と同じように、需要が高いのに専門性が高くて翻訳者が不足しているため、需要に供給が追い付いておらず、その分翻訳者の料金も高めに設定されています。
特に日英の翻訳ができる翻訳者が慢性的に不足していると言われており、もちろん英日翻訳よりも日英翻訳のほうが単価は高くなります。
派遣社員として翻訳をする、特許事務所や法律事務所で社員として翻訳をする、フリーランスで翻訳をする、あるいはメーカーの中で翻訳をする、このそれぞれで収入はかなり違ってきます。
法律翻訳・契約書翻訳の今後の需要
グローバル化によって中小企業でも自治体でも、ビジネスチャンスを求めて海外に進出する時代になりました。
日本企業が海外でビジネスを行う場合には必ず契約書の翻訳の需要が発生するため、需要がなくなることはありません。
海外の企業と取引する際には必ずNDA(秘密保持契約書)や売買契約書などの契約書を締結します。よって、この分野の需要は今後も安定して伸びていくものと見込まれています。
景気のいいときには、子会社などの現地の会社の設立やM&A、共同開発やジョイントベンチャーなどが活発になり、いずれも契約書が必ず発生します。
一方、景気が悪くなったとしても、会社の解散や清算に関わる翻訳が増えます。
このように、分野としては景気の波に左右されにくいと言われています。
経済活動には、必ず契約の締結や法律や規則の設定が関わってくるため、翻訳のニーズは益々増えていくと思われます。
法律翻訳・契約書翻訳の専門の学校
専門のスクールで勉強するのは、お金はかかりますが、翻訳者になる一番の近道といえます。
学校に行くと翻訳の技術も効率よく学習することができますし、さらに実際の翻訳者の先生にプロとして身につけるべき専門知識も教えてもらうことができます。
また、通学講座であれば、ほかの受講生の人と友だちになって情報交換したり切磋琢磨できることも、モチベーションを保つ上ではとてもいいですよね。
法律翻訳・契約書翻訳を学習できる主なスクールとして、バベル、ジェックス、フェローアカデミー、インタースクール、サイマル・アカデミーをリストアップしました。
翻訳学校 BABEL UNIVERSITY
バベルの法律翻訳コースの教材は、大手法律事務所の研修でも使われていて定評のある通信講座です。講座の種類が多いのが特徴となっています。
わたしは、実際にバベルの講座をいくつか受講しましたので、バベルについては少し詳しく書きたいと思います。
バベルには翻訳大学院があって、法律分野は通信コース:法律翻訳(第4専攻)という扱いです。その中の講座を個々に受講できる仕組みになっています。
実際にバベルで勉強してリーガル翻訳者になった方の声を聞いてみると参考になるかもしれません。
-
- リーガル翻訳文法
- 英日契約書翻訳 I (初級)
- 英日契約書翻訳I
- 英文契約書の読み方 英文契約書の読み方
- 英日契約書翻訳 II
- 英日契約書翻訳 III
- 日英契約書翻訳 I (初級)
- 日英契約書・法律翻訳 II
- 日英契約書翻訳 III
- 英日訴訟文書翻訳
- 英日・日英金融法務翻訳
- ドラフティング講座(契約書篇)
- インターナショナルパラリーガル実務(リーガルドラフティング議事録篇)
- 国際取引法
- アメリカ法
わたしは、この内の英日契約書翻訳 I とIIとIII、そして日英契約書翻訳 Iを受講しました。もしそのままリーガルの翻訳者を目指していたら全ての講座を取ったかもしれません。
でも英日契約書翻訳 I を一つ受講するだけでも、知識はかなり身に着けられると思います。
バベルの講座の特徴①
バベルの通信講座を受講すると、翻訳の技法をまとめた7冊のルールブックが副教材として送られてきます。
- バベル法律文章表現技法
- 法律文章日本語表現ルールブック
- 英文契約書の共通条項の解説
- 英文契約書の必須用語・用例集
- バベル法律翻訳英文法(英日)①②
- バベル法律翻訳英文法(日英)①②バベル・リーガル・ドラフティング技法
この7冊のルールブックで、契約書・法律分野の翻訳者として知っておくべき基本的なルールを学習することができます。
このルールブックがとても勉強になりましたので、このルールブックを入手するためだけに講座を一つ受講してもいいくらいです(笑)。
バベルの講座の特徴②
講座は、提出課題と個別添削指導のあるコースと、添削指導のないコースの2つにわかれています。
受講料は、「指導つき」のほうが当然ながら高く設定されていて80,000円(税別)。
指導なしはなんと半額の38,000円(税別)というお得な設定です。オンラインの音声の動画は「指導なし」のコースでも見れますよ。
わたしは本当は指導つきのほうがいいとは思ったのですが、なにせお金がかかるので、最初に受講した『英日契約書翻訳 I 』だけ「指導つき」にして、あとは「指導なし」にしました。
「指導つき」は添削してもらえるので、自分の間違いなどはわかるのですが、うーん「指導なし」でじゅうぶんかもしれません。
よって、わたしのように安く抑えようと思ったら、「指導なし」にするという手もありますね。
バベルの講座の特徴③
国際取引法やアメリカ法に特化した講座がありますので、アメリカの司法制度やコモンローの知識を学習することができます。
ジェックス教育事業部
後で説明しますが、わたしの大好きな『英文契約書の基礎知識』や『英文契約書ドラフティングハンドブック』の著者の飯泉恵美子先生が代表のスクールです。
もし自分がいまから学校に行くなら「ジェックス」です。オンライン講座ができて便利になりました!
それほど『英文契約書の基礎知識』と『英文契約書ドラフティングハンドブック』のファンでして(笑)。
受講したことがなくていうのもなんですが、あの本の内容からして良い講座に違いない、と勝手に思っています。
日英契約書翻訳の上級講座になると、飯泉先生の指導を受けられるとのことです。うらやましいですね。
ジェックスのホームページの『法務翻訳のノウハウ』だけでも、有料で提供してもよさそうな内容で、契約書の勉強をしていた当時はよく拝見させていただいていました。
以前は通信講座がありましたが、いまはコロナの影響なのか通学講座がオンライン講座になっています。
【初級・中級】
- 英日契約書翻訳プライマリー講座
受講回数:5回(1回あたり90分
受講料:42,000円(税別) - 日英契約書翻訳プライマリー講座
受講回数:5回(1回あたり90分)
受講料:44,000円(税別)
【上級】
- 英日契約書翻訳上級講座
受講回数:5回(1回あたり90分)
受講料:45,000円(税別) - 日英契約書翻訳上級講座
受講回数:5回(1回あたり90分)
受講料:48,000円(税別)
フェローアカデミー
わたしは、フェローアカデミーの通信講座で、実務翻訳<ベータ>の初級をずいぶん前に受講しました。
そのときは、実務翻訳なんて到底ムリ、と思ったものでしたが、いまでは実務翻訳をしているので、人間なんとかなるものだとつくづく思います…。
ちなみに、<ベータ>では、実務翻訳の基本=「明快」「正確」「簡潔」に訳す翻訳技法を全12章で習得します。
フェローアカデミーでも、契約書の講座は通学講座と通信講座が用意されています。現在は、通学講座はオンラインで自宅から受講することができます。
契約書の特色や基本的な構成、一般条項、基本表現を学びます。契約書翻訳に役立つ参考書や辞書の情報も教えてくれます。最終的に秘密保持契約書の学習をします。
契約書の基本から学べるため、「契約書を勉強するのは始めて」という方にもおすすめです。
こちらは通信講座です。
受講するとテキストが送られてきて、オリエンテーション動画を見ることができます。
契約書翻訳の特徴や必要なスキルなどの、最低限として必要な知識を学習します。
返却された添削結果やアドバイスについて分からない点があった場合、マイページから質問することができます。
フェローアカデミーは、日本最大の翻訳者ネットワーク「Amelia (アメリア)」を運営しています。
求人情報も常に約250件掲載されています。アメリアについてはこちらの記事に詳しく書きましたので、興味のある方はどうぞごらんください。
インタースクール
インタースクールといえば、英語業界では知らない人はいない、通訳スペシャリスト養成スクールですが、もちろん翻訳講座も提供されています。
インタースクールはインターeスクールという通信講座があったのですが、現在は通学講座のみです。通学講座はオンラインでも受講できます。
産業翻訳コース
- 回数:全20回
- 期間:6ヵ月
- 入学金:33,000円
- 基礎科の受講料:140,250円(税込)
基礎科を終了後は、本科とプロ実践科もあります。
オンラインで受講することができるので、自分のペースでパソコン、スマホ、タブレットで受講することができます。
受講終了が近くなると、講師やコーディネーターやスタッフとなどと面談できるチャンスがあり、仕事に直結した講座になっています。
サイマル・アカデミー
こちらも通訳者の養成スクールとして有名なサイマル・アカデミーです。通信講座が1つ開講されています。
対象は、英文契約書を業務で取り扱う方、興味がある方、TOEIC® 700点~、英検準1級~の方です。
教材としては、テキストと資料がPDFで送付されてきます。また、日本国内に在住の方には用語集の冊子もついてきます。
実際の契約書で使用されるセンテンスや文章を例題として用いながら解説してくれます。
また、例題と類似の契約文で翻訳の練習を行うことで、効果的に英文契約書を読む・訳すための知識を身につけることができます。
契約書としては、売買契約書を取り上げるとのことです。
法律翻訳・契約書翻訳を勉強するおすすめの本
英文契約書を勉強する際のおすすめの本
『はじめてでも読みこなせる英文契約書』本郷 貴裕(Asuka culture)
この本の特徴は、とにかく「初心者向け」にわかりやすく工夫されている、ということです。
どちらかというと、実務で英文の契約書を取り扱わないといけない、でも英語もちょっと苦手、というような人にでもとっつきやすくコラムなども挿入されているので、最初に読むにはとてもいい本だと思います。
英文契約書でよく出てくるような専門用語だけでなく、契約や法律に関する基本的な知識も身につけることができます。
実際に翻訳の勉強をするようになった場合は、次にご紹介する「英文契約書の基礎知識」のような本などを読むといいのですが、一番最初のとっかかりにするには、このようなわかりやすく書かれた本を読んでみるといいかもしれません。
アマゾンでも高い評価を受けています。口コミでも好評ですね。
『英文契約書の基礎知識』 宮野準治、飯泉恵美子(ジャパンタイムズ)
専門スクールのジェックスのところでもご説明した、わたしの大好きな本です。
英文契約書について、知っておくべき基本的な内容がすべてわかりやすい内容で網羅された、初心者から実務経験者まで使える定番の一冊。
契約書を初めて勉強する方は、ぜひこの本からスタートしてみてください。他の本だと難しすぎて挫折してしまいそうなところ、この本で勉強するとがんばって最後まで続けることができますよ!
契約書の翻訳だけでなく、第1章では国際契約の成り立ちの基礎知識などの取引担当者が直面する交渉のときの問題点なども説明してくれています。
このため、契約書の翻訳を目指す人だけでなく、ビジネスで英文契約書を読まないといけないビジネスマンの人にも必見の本だと言われています。
発刊は20年以上前ですが、長年の間、英文契約書の解説本として多くの人から支持されている本です。
もちろん、スクールで教わるような契約書の基本的な用語の使い方も教えてくれます。
あまりに好きすぎて、わたしはこの本を2冊購入して、1冊は電子書籍にして、もう1冊は紙のまま使っています。
本の中身は何回も勉強したので、こんな感じでマーカーですごいことになっています。インデックスもつけていますが、もうちょっとテプラとかできれいに貼れよっていう感じですね(笑)。
法律・契約書の用語は英語も日本語も特殊な用語を使うため、一般的な辞書には載っていない用語が多くあります。
たとえば、法律用語では基本的な用語である「および」と「ならびに」、「または」と「もしくは」ですが、実は使い方が決まっています。
「および」と「ならびに」の場合は、「こおよび・だいらなび」といって、小さいくくりに「および」、大きいくくりに「ならび」を使うことに決められています。
具体的にいうと、「りんごおよびさくらんぼならびにかぼちゃ」という感じですね。りんごとさくらんぼは同じ果物なので「および」で接続し、「りんごとさくらんぼ」が「かぼちゃ」と接続する、という形です。
よって、これは一般的にも適用するので、メールを作成するときに、「会議には、議事録ならびに録音が必須です。」と使っていたりしますが、「会議には、議事録および録音が必須です。」が実は正しいことがわかります。
このように、専門的な内容は、スクールや書籍で勉強するのがおすすめです。
英文契約書ドラフティングハンドブックもおすすめです。
『英文契約書の書き方 <第3版>』山本孝夫(日経文庫)
三井物産の法務部に30年以上、知的財産法務室長も務められた明治大学の山本孝夫教授の著書です。
第2版は2006年の発行だったのですが、2019年に13年ぶりに改訂になりました。ビジネス法務の定番の本と言われています。
この本のいいところは、何といっても新書で薄くて軽いのに内容が充実しているところ。
電車の中で読む場合でも重くないので持ち運びしやすいのが嬉しい点です。
基本中の基本の一般条項(共通条項)はもちろん、秘密保持契約、販売店契約、ライセンス契約、という基本的な契約書を勉強することができます
『英文ビジネス契約書大辞典』山本孝夫( 日本経済新聞出版)
同じく山本孝夫教授の著書です。
この大辞典も2006年の発行でしたが2014年に改訂版が出ました。わたしはこの改訂になる前の版を持っています。
今回は前版の約2倍のページ数になり、取り扱う契約書の種類も増えています。A4サイズで分厚いので、持ち運ぶというよりも、百科事典のように家に置いておいて使うタイプの本です。
この本を買うのはなかなか勇気がいります。なんと驚愕の26,400円!
でも、とにかくボリュームが素晴らしいです。売買契約書やライセンス契約、合弁事業契約など、いろいろな契約書が載っていてそれぞれの詳しい内容を勉強できます。
もちろん一般条項、そして前述したラテン語などのリーガルジャーゴンなどの契約書の基本用語の説明も当然あります。
様々な契約書が一覧できますので、契約書の翻訳を本格的に勉強したい方は、持っていれば非常に勉強になる本であることは間違いないです。
この本だけを買って勉強してもかなりの実力がつくのではないでしょうか。
わたしも、前の版は高いので清水の舞台から飛び降りる気持ちで買いました(笑)。でも本当に買ってよかったと思っています。
アマゾンでのレビューも高評価ですね。
法律用語を勉強する際のおすすめの書籍
法務文書を翻訳する際には法務に関する一般的な知識も必要になります。
『法律学小辞典 第5版』(有斐閣)
法律・契約書の翻訳を勉強するのであれば、法令用語辞典や法律用語辞典が必須になります。細かい用語も法律用語辞書で調べる癖をつけると、間違いを少なくすることができておすすめです。
割と新しくておすすめなのは『法律学小辞典 第5版』(有斐閣)
法律に携わる人であればこの辞典、ということでファンが多い辞典です。難しい用語が並んでいますがそれでも見やすいので、おすすめです。
『英米法辞典』(東京大学出版会)
英文契約書には、英米法に特有の法律の概念が含まれていて、日本語の法律用語を知っているだけではたちうちできません。
よって、英米法について詳しく載っている辞書を一冊は持っておくことが必須です。
法律分野の翻訳者として一番定番なのは『英米法辞典』(東京大学出版会)。
ちょっと高いのですが、契約書・法律分野の翻訳者の場合は、この辞書以外に英和辞書の選択肢はないと思います。
一冊揃えておくと便利ですし、信頼性が保てますのでおすすめです。
『ポケット六法』佐伯 仁志 (編集), 大村 敦志 (編集)(有斐閣)
正直言って六法は、本屋で実際にぱらぱらと見てみて、使いやすそうなものにするといいと思います。
何といっても六法自体が読むのにかなり勇気がいる味気ない(わたしの感想です…面白い人もいるかも)内容なので、読みやすかったり見やすかったりするのが重要かと思います。
とはいってもおすすめを教えて欲しいという方は、わたしが実際に本屋で見て選んだこちらの本はいかがでしょうか。
バツグンに見やすくて使いやすいと思います。司法試験でも使っている人が多いみたいですね。
いまから購入するならやっぱり最新の版がいいと思うので令和2年版のこの本がイチオシです。
法律・契約書の翻訳のまとめ
この記事では、契約書や法律分野の翻訳を目指す方向けに、契約書や法律分野について詳しくご説明しました。
わたしはこの分野は結構好きです。
翻訳者としては英訳した英文の文法やスペルミスがないかどうかチェックすることは重要です。英文チェックに欠かせないおすすめのサイトをご紹介しています。
おすすめの辞書は何といっても語彙数の豊富な「英辞郎」です。