少し前に、老後資金が2000万円不足する、とした金融庁審議会の報告があり、大きなニュースというか騒ぎになり、批判が殺到したのも記憶に新しいですね。
老後われわれが手にすることのできる年金が少なくなるのではないか、年金をうけとることのできる年齢がどんどん繰り上げられるのではないか、といった報道もよく耳にします。
高齢化社会によって、労働人口が高齢者を支えるという年金のシステムは本当に大丈夫なのか、特に若い人は心配なのではないでしょうか。
さらに、今年2020年は、新型コロナウイルスの全世界中の感染拡大によって、以前には想像もしていなかったいろいろな方面への影響が起こっています。
特に仕事のことやお金のことなどは、何が起こるかわからない。今までは深く考えていなくても、今後は将来を見据えて何かあったときのために準備しておかなければならない、と思わされた年でもあります。
老後の準備は後回しになりがちですが、人生80年、いや90年時代に突入しているこの時代。
老後のセカンドライフを公的年金をもらって悠々自適に過ごす、という一昔前のライフプランはいまやもう通用しません。
自分の老後は自分でしっかりと守る。
これが重要になってきます。このために、毎月一定の金額をコツコツと積み立てていくことで、無理なくじっくりと老後の資金を準備できるのがiDeCoです。
そうは言っても、そもそもiDeCoって何かわかりにくいですよね。
我が家でも加入するまではよくわからなかったので、いろいろ調べたり何冊も本を読んだりしました。
この記事では、iDeCoとはなにか、iDeCoの特徴について、基本的な全体の流れをざっくりと説明していきたいと思います。
iDeCoのほかの記事をこちらにまとめました
iDeCoってどんなもの?iDeCoの特徴は?
iDeCoの正式名称は個人型確定拠出年金。カタカナでイデコと表示する場合もあります。
iDeCoとは、日本国政府の正式な制度として、自分で年金をしっかりと積み立てていけるように「毎年毎年、節税をしながら老後の資金を作れる」画期的な制度です。
iDeCoの特徴は、加入するのも自分のチョイス、金融機関も自分のチョイス、商品も自分でチョイスすること。
すべて自分で選んで作る、もうひとつの私的な年金です。
iDeCoの加入は義務ではありませんので、iDeCoという制度を知らない人も多く、現在の加入数はだいぶ以前よりも増えましたが、令和2年3月時点でまだ約156.3万人です。
毎月積み立てられる金額は5,000円からで、2018年1月から年単位で積み立てることもできるようになりました。
iDeCoの最大の魅力は、なんといってもいろいろな場面で税制上の優遇が受けられて節税ができることです。
この3つの税制のメリットについては、詳しくこちらの記事で解説しています。
iDeCoに加入できるのはどんな人?
iDeCoの加入は、20歳以上60歳未満の方であれば原則どなたでも加入することができます。
加入区分 | 加入対象の人 | 加入対象でない人 |
国民年金の第1号被保険者 | 自営業、フリーランス、学生など | 農業者年金の被保険者の方、国民年金の保険料を免除されている方 |
厚生年金保険の被保険者(国民年金2号被保険者) | 60歳未満の厚生年金の被保険者(サラリーマン、公務員)、私学共済制度の加入者 | 勤務先で企業型確定拠出年金に加入している人(個人型同時加入を認めている場合はOK) |
国民年金の3号被保険者 | 専業主婦、専業主夫など | – |
※2020年5月29日に年金関連法案が可決、成立しました。この改正による規制緩和で、60歳以降も厚生年金に加入している人と国民年金保険料を60歳以降も納めている人は、65歳までiDeCoに加入できるようになりました。
また、企業型の確定拠出年金に加入している人もiDeCoに無条件で加入できるようになりました。
iDeCoがますます使いやすくなりますね!
iDeCoの掛け金はいくら?
月額5,000円からはじめることができます。それ以上積み立てたい場合は1,000円単位で上乗せすることができます。
2018年年1月からは、加入者が年に1回以上、任意に決めた月にまとめて拠出することもできるようになりました。
掛け金の上限金額は加入区分に応じて決められています。
加入資格 | 掛け金 |
国民年金第1号被保険者の方 (自営業、フリーランス、学生) | 68,000円/月 <年額81万6000円まで> |
会社員(会社が企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合) | 23,000円/月 <年額27万6000円まで> |
会社員(会社が企業型年金のみを実施している場合) | 20,000円/月 <年額24万円まで> |
会社員(会社が厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合) | 12,000円/月 <年額14万4000円まで> |
公務員の方 | 12,000円/月 <年額14万4000円まで> |
専業主婦、専業主夫
|
23,000円/月 <年額27万6000円まで> |
会社員の方で、お勤めの会社の年金制度についてよくわからない場合は、お勤めの会社の人事総務のご担当に相談・確認してくださいね。
※2022年5月からの制度改正では、企業型の確定拠出年金に加入している人もiDeCoに無条件で加入できるようになりましたが、拠出できる金額は、会社のほうでかけている掛け金によって変わってきます。
くわしい掛け金については、 確定拠出年金のホームページに今後掲載される予定です。
iDeCo(イデコ)の制度の全体的な流れは?
iDeCoの制度の全体的な流れはこんな感じです。
iDeCoをはじめるために管理運用機関を決める
まずはどこの金融機関でiDeCoのお金を運用するかを決めます。
金融機関がいっぱいあってわからない。こんな方はこちらをどうぞ。
金融機関が決まったらiDeCoの資料を請求します。複数の金融機関に資料を請求して比べてみてもいいですね。
その金融機関が取り扱っている商品の一覧も送付されてきた資料の中に同封されているはずです(もちろんその金融機関のホームページでも見れます)。
こちらのiDeCoの公式ページでも運営管理機関は探せますよ。
金融機関から送られてきた加入申出書と事業主の証明書を準備する
iDeCoへの加入は金融機関経由で国民年金基金連合会に申し込むことになります。
金融機関が決まったら、先ほど請求した資料の中にある加入申出書に記入します。加入するためにオンラインで申し込むことはできず、すべて書面に記入して提出することになります。
記入しないといけない書類がいっぱいあって最初はびっくり。しかも、手続きには結構時間がかかるので、くれぐれも記入もれがないか、記入した内容に間違いがないか確認してくださいね。
はんこの押し忘れと誤字・脱字、フリガナの記入忘れに要注意です!
間違っていると書類が返却されてきてまた手続きをしないといけないので本当にめんどうです。
企業の従業員が加入する場合、めんどうなのですが、事業所登録の申請書と企業年金等の加入者でないことについての事業主の証明書の提出が必要になります。
こっそり加入する、ということはできないんですよね (笑)。
これは、お勤めの会社の総務や経理や人事の担当者の方に申請書を渡せば入力してくれます。
お勤めの会社にすでにiDeCoに加入している人がいれば、担当者の人も慣れたもの。すぐに証明書に記入してくれると思います。
家内のミッキーの勤め先では初めての申請者だったようで、経理担当者と共に記入の仕方に悩んだらしいです。
中にはなかなか記入してくれない会社もあるといいます。でも、最近はiDeCoの制度の認知度が上がってきているので、当然の権利として書類を提出すれば書いてもらえるはずですよ!
iDeCoで運用する金融商品を選ぶ
無事に申し込みが終わってiDeCoに加入できたら、積み立て金を運用する商品を選びます。ひとつ選んでも、複数選んでも大丈夫です。
掛け金と同じく金融商品も途中で変更することができます。
自分が選んだ金融商品と運用実績に応じて受け取る金額は変わります。金融商品によっては支払ってきた元本を上回ることもありますが、逆に元本を割って損することもあります。
損は絶対したくないのであれば、金融商品の中には定期預金などの元本確保型の商品もありますので、預金的な商品を買うのも良いと思います。
ただ、働いている方であれば、毎年支払う所得税と住民税で、iDeCoに加入すれば、すでに大きな節税効果があります。
このため、元本割れのリスクはこの節税効果である程度カバーできると考え、投資信託商品を選んでいくこともおすすめです。
これは、うまく運用できれば節税効果にプラスして利益も出すことがでるからです。
くわしくはこちらの記事をどうぞ。
iDeCoで掛け金を拠出(きょしゅつ)する
拠出(きょしゅつ)とは掛け金を払うことです。積み立てると書いてある場合もあります。
iDeCoに加入したら、加入申請をしたときに記入した銀行の口座から、毎月掛け金が口座から引き落とされ、自分が加入した金融機関へ支払っていきます。
このことを拠出すると言います。掛け金は途中で変更することもできます。
掛金の変更は、毎年1月~12月までの間に1回だけ可能です。
また掛金支払いの休止・再開も可能です。(掛け金の金額設定や上限額については後で詳しく解説します)
iDeCoで資産を運用する
そして実際の資産運用は選んだ金融機関が行います。
資産運用の状況は定期的に金融機関から報告書として郵送されます。
またネットで金融機関から自分の資産がどうなっているか、いつでも確認することができます。
iDeCoの税金の負担を軽くするために年末調整か確定申告をする
iDeCoで積み立てている掛け金は、全額が所得控除されて、所得税と住民税が低くなります。
所得税と住民税の負担を減らすためには、年末調整か確定申告を行います。
生命保険などに加入している方は年末近くになると払い込み証明書が送られてきますよね。
年末になるとiDeCoでも、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてきます。
iDeCoの拠出金がお給料から天引きされている会社員や公務員の年末調整
iDeCoの拠出金がお給料から天引きされている会社員や公務員の人は、年末調整の用紙がお勤め先から配布されると思います。
この年末調整の用紙の右下の方にある、小規模企業共済等掛金というところに証明書に書かれている1年間に掛けた金額を記入して、小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して、お勤め先に提出してください。
自営業者は確定申告でiDeCoの申告をします
自営業の場合は、確定申告のときに併せて申告すれば大丈夫です。
国税庁の確定申告のページから「確定申告書B」をダウンロードして、第一表の「小規模企業共済等掛金控除」の欄にiDeCoで掛けた金額を記入します。
そして、第二表の小規模企業共済等掛金控除」の「掛金の種類」の欄に「個人型確定拠出年金」と記入すればOK。
ほかの確定申告と一緒に、小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して税務署に提出します。
会社員や公務員でイデコの初回の掛け金を11月以降に払いこんだ場合と年末調整ができなかった場合
初回の掛け金を11月以降に払いこんだ場合は、小規模企業共済等掛金払込証明書の送付されてくるのが12月下旬頃になって年末調整に間に合いませんので、この時だけ確定申告の手続きが必要になります。
また、何らかの理由で年末調整ができなかった会社員や公務員の方も、確定申告で税金の負担を軽くすることができます。
この場合は、国税庁の確定申告のページから、確定申告書Aをダウンロードします。
第一表の「小規模企業共済等掛金控除」の欄にiDeCoで掛けた金額を記入します。
そして、第二表の小規模企業共済等掛金控除」の「掛金の種類」の欄に「個人型確定拠出年金」と記入すればOK。
確定申告の申告期限内(2月16日~3月15日)に、小規模企業共済等掛金払込証明書と源泉徴収票を添付して、最寄りの税務署に提出します。
この場合、窓口に提出しても郵送で提出してもOKです。
iDeCoで運用してきたお金を受け取る
iDeCoで運用してきたお金は原則60歳以降に、一時金または年金方式という形で受け取ります。
この税制上のメリットだけでもiDeCoを始める価値がありますよ。
最後に老後にお金を受け取るときの受け取り方が知りたい方はこちらの記事をどうぞごらんください。
詳しい記事はこちらをどうぞ。
※2020年5月29日に年金関連法案が可決、成立して、iDeCoの受け取り開始時期は60歳~75歳の間に延ばせるようになりました!
まとめ
この記事では、iDeCoの【制度全体の基本的な流れ】をご説明してきました。
それぞれの細かい内容については、個別の記事で説明していますので、興味のある方は参考にしてみてくださいね。
我が家では↓の本がとても参考になりました。